泣く泣く夜いたう更 桐壺06章10
目次
原文 読み 意味
泣く泣く 夜いたう更けぬれば 今宵過ぐさず御返り奏せむと 急ぎ参る
01074/難易度:☆☆☆
なくなく よ/いたう/ふけ/ぬれ/ば こよひ/すぐさ/ず/おん-かへり/そうせ/む/と いそぎ/まゐる
命婦は泣きながら、夜もひどく更けましたので、今夜のうちにご返事を奏上しませんとと、帰参を急ぐ。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- 泣く泣く…と急ぎ参る 三次元構造
泣く泣く 〈夜〉いたう更けぬれば 〈[命婦]〉今宵過ぐさず御返り奏せむと 急ぎ参る
助詞と係り受け
泣く泣く 夜いたう更けぬれば 今宵過ぐさず御返り奏せむと 急ぎ参る
「泣く泣く」→「急ぎ参る」
泣く泣く 夜いたう更けぬれば 今宵過ぐさず御返り奏せむと 急ぎ参る
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:ぬれ ず む
- ぬれ:完了・ぬ・已然形
- ず:打消・ず・連用形
- む:意思・む・終止形
敬語の区別:御 奏す 参る
泣く泣く 夜いたう更けぬれ ば 今宵過ぐさず御返り奏せむ と 急ぎ参る
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
御返り 01074:母君の返書
復命との解釈が一般的である。復命は帝に対して使者としての報告をすることであり、「御」は帝に対する敬意となる。しかし、「御返り御覧ずれば/01085」とあり、母北の方の返書を「御返り」としているので、ここも母北の方の返書と考える。「御」は主体である母北の方に対する敬意と考えておく。