藤壺と聞こゆ 132
原文 読み 意味 桐壺第9章06/源氏物語
藤壺と聞こゆ
ふぢつぼ/と/きこゆ
藤壺と申し上げる。
桐壺 注釈 第9章06
藤壺 01-132
藤壺は清涼殿の北にある飛景舎(ひげいしゃ)のことで、藤が植えられていることから藤壺の異称を持ち、宮もその名で呼ばれた。
聞こゆ 01-132
文中にないがこの文の主語は宮中の人々で、「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語。「言ふ」の動作対象である藤壺の宮に対する敬意表現である。桐壺更衣の場合には「御局は桐壺なり/01-015」と表現されていた。ここでは局の名前の紹介のため、名乗り表現ではないとも考えられるが、生前に桐壺の名が出るのはこの箇所のみであり、この部分を名乗りでないとするなら、生前名乗りのないままであったことになる。いずれにしろ、扱いのうえで藤壺の宮とは好対照をなす。
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:世人
《藤壺と聞こゆ》A
藤壺と申し上げる。
直列型:A:A
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用
大構造(と聞こゆ/一次)& 係り受け
〈[世人]〉藤壺と聞こゆ
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
助詞の識別/助動詞:
藤壺と聞こゆ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の識別:
藤壺と聞こゆ
尊敬語 謙譲語 丁寧語