月は入り方の 空清 075

2020-09-07☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,05 空間/天候・風景・自然・環境,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第6章11

月は入り方の 空清う澄みわたれるに 風いと涼しくなりて 草むらの虫の声ごゑもよほし顔なるも いと立ち離れにくき草のもとなり

つき/は/いりがた/の そら/きよう/すみ-わたれ/る/に かぜ/いと/すずしく/なり/て くさむら/の/むし/の/こゑごゑ/もよほし-がほ/なる/も いと/たち/はなれ/にくき/くさ/の/もと/なり

月は入り方で空は清く澄みわたる時刻に、風はたいそう涼しくなって、叢の虫の鳴き音までが涙を誘う感じがするのも、何とも立ち去りがたい草の宿である。

解釈の決め手

もよほし顔:涙を誘う擬人法

声の比喩。聴く者の涙を誘う。以下の二首の歌「鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜あかずふる涙かな/01-076」「いとどしく虫の音しげき浅茅生に露置き添ふる雲の上人/01-077」にひびいてくる。

桐壺 注釈 第6章11

草のもと 01-075

母君の里の言い換え。

語りの対象&構造型

対象:里の様子(一般論風だが実質は)命婦

月は入り方の空清う澄みわたれるに》A
月は入り方で空は清く澄みわたる時刻に、


風いと涼しくなりて・草むらの虫の声ごゑもよほし顔なるも》B・C
風はたいそう涼しくなって、叢の虫の鳴き音までが涙を誘う感じがするのも、


いと立ち離れにくき 草のもとなり》D
何とも立ち去りがたい草の宿である。

分岐型:A+B+C<D:A+B+C<D

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:草のもとなり/三次

〈月〉は入り方  〈空〉清う澄みわたれる  〈風〉いと涼しくなり  草むらの〈虫の声ごゑ〉もよほし顔なる  いと立ち離れにくき 草のもとなり

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「いと立ち離れにくき草のもとなり」は「この草のもとはいと立ち離れにくきなり」の倒置。「空」「風」は風雅に満ちた里であり、入り方の月は間もなく明るくなるので、もう少し待って帰ってもよいとの意味。こうした状況が語られることで次の歌が生きてくる。

係り受け&主語述語

「月は入り方の空清う澄みわたれる(時刻)」(A「同格」のB連体形):後ろに時刻、刻限などの語が省略されている。なお、「月は入り方に」の異文も存在し、「月は入り方にあり」などの意味となる。


「月は…わたれるに」:状況説明


「風いと涼しくなりて」「草むらの虫の声ごゑもよほし顔なる」:並列関係(本文が「月は入り方に」であれば、「月」「空」「風」「虫の声」が並列となる)→「も」

附録

助詞の識別

入り方 空清う澄みわたれ  風いと涼しくなり 草むら声ごゑもよほし顔なる いと立ち離れにくき草もとなり

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

月は入り方の 空清う澄みわたれる に 風いと涼しくなりて 草むらの虫の声ごゑもよほし顔なるも いと立ち離れにくき草のもとなり

尊敬語 謙譲語 丁寧語