大臣気色ばみ 聞こ 156 ★☆☆

2020-09-1401 桐壺01章~10章★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺01章~10章,なり(断)

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第10章16

大臣気色ばみ きこえたまふことあれど もののつつましきほどにて ともかくもあへしらひきこえたまはず

おとど/けしきばみ きこエ/たまふ/こと/あれ/ど もの/の/つつましき/ほど/にて ともかくも/あへ-しらひ/きこエ/たまは/ず

エ:や行の「え」

大臣は顔色を改め今夜の娘の件でしかとお伝え申したが、何ぶん恥ずかしい年頃なのでなんともご返事申し上げにならない。

解釈の決め手

気色ばみきこえたまふ:「きこえたまふ」は本動詞、真剣な表情で訴えた

「きこえ」は「気色ばむ」の補助動詞とし、それとなくほのめかすほどの意味と解釈されている。しかし、左大臣にとって光源氏を婿にとることは家の大事であって、ほのめかす話題ではない。はっきりと伝えねばならないことだ。若い光源氏ばかりか政治の重責を担う左大臣までが、てきぱき物事を推し進められないのでは、国が危ぶまれるし、物語の構成としても効果的でない。ここは、「気色ばみ 聞こえたまふ」と本動詞二つと考える。気持ちが顔に表れるとは、この場合、真剣な顔になって、表情を改めてなどして、今夜は娘のことをよろしくお願いしたい旨をはっきりと口に出して伝えたのである。添ひ臥し役の女性は正室になることが多かった(『北山抄』)が、それが規則というものではないので、生涯にわたる婚姻関係が左大臣家の願いであることを伝えておく必要があったろう。ただ、光源氏にすれば、初夜のことを口にされても、年齢的に恥ずかしくてならないので、何ともかとも返事ができなかったのである。

桐壺 注釈 第10章16

もののつつましき 01-156

気恥ずかしい。「ものの」は諸事一般。

あへしらひ 01-156

応答する。

語りの対象&構造型

対象:左大臣光源氏

大臣気色ばみ きこえたまふことあれど》A
大臣は顔色を改め今夜の娘の件でしかとお伝え申したが、


もののつつましきほどにて・ともかくもあへしらひきこえたまはず》B・C
何ぶん恥ずかしい年頃なのでなんともご返事申し上げにならない。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:あへしらひきこえたまはず/四次

〈大臣〉 気色ばみ きこえたまふ 〈こと〉あれ  〈[光源氏]〉もののつつましきほどにて ともかくもあへしらひきこえたまはず

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「もののつつましきほどにて」:語り手による理由説明

附録

助詞の識別

大臣気色ばみ きこえたまふことあれ ものつつましきほど  ともかくもあへしらひきこえたまは

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

大臣気色ばみ きこえ たまふことあれど もののつつましきほどに て ともかくもあへしらひきこえ たまは

尊敬語 謙譲語 丁寧語