御子はかくてもいと 036

2020-09-07☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,,まほし,

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第4章01

御子はかくてもいと御覧ぜまほしけれど かかるほどにさぶらひたまふ例 なきことなれば まかでたまひなむとす

みこ/は/かくて/も/いと/ごらんぜ/まほしけれ/ど かかる/ほど/に/さぶらひ/たまふ/れい なき/こと/なれ/ば まかで/たまひ/な/む/と/す

御子のことはこんな場合でもご覧になっていたいと強くお望みだが、母の喪中に帝のお側にお仕えする前例はないことなので、ご退出の運びとなる。

解釈の決め手

まかでたまひなむとす

三才の光源氏に内裏から退こうという意思がないことは以下につづく文より明らかであるから、「む」は意思以外の用法となる。「なむとす」には、近未来が確実視される事柄を表す用法がある。三歳の御子の意思とは無関係に事が推移して行くことを表現していると考えれば、「なむとす」は実に適語と言えよう。

桐壺 注釈 第4章01

御子 01-036

光源氏。

かくても 01-036

こうなっても、母更衣が亡くなっても。

かかるほどに 01-036

母の喪中に。

さぶらひたまふ 01-036

帝に仕える。宮中に出仕する。

例なきこと 01-036

延喜七年に七歳以下は喪に服さずともよくなるので、時代設定はそれ以前ということになるが、歴史上の事実はあくまで小説の道具に過ぎない。

語りの対象&構造型

対象:光源氏宮中の慣例

御子 はかくてもいと御覧ぜまほしけれど》 A
御子のことはこんな場合でもご覧になっていたいと強くお望みだが、

かかるほどにさぶらひたまふ 例 なきことなれば・ まかでたまひなむとす》 B・C
母の喪中に帝のお側にお仕えする前例はないことなので、ご退出の運びとなる。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:ばまかでたまひなむとす/四次

〈[帝]〉御子かくてもいと御覧ぜまほしけれ  かかるほどにさぶらひたまふ 〈例〉 なきことなれ  〈[御子]〉まかでたまひなむとす

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「さぶらひたまふ例」:「たまふ」は終止形として文を切るテキストもあるが、特に意味がふくらむとも思えない。連体形で「例」を修飾するでいいと思う。

附録

助詞の識別

御子かく いと御覧ぜまほしけれ  かかるほどさぶらひたまふ例 なきことなれ  まかでたまひ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

子はかくて もいと御覧ぜまほしけれ ど かかるほどにさぶらひ たまふ例 なきことなれ ば まかで たまひなむ とす

尊敬語 謙譲語 丁寧語