鈴虫の 声の限り 076
鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜あかずふる涙かなえも乗りやらず 原文 読み 意味 桐壺第6章12/源氏物語
鈴虫の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
すずむし/の こゑ/の/かぎり/を/つくし/て/も ながき/よ/あかず/ふる/なみだ/かな え/も/のり-やら/ず
松虫が羽を振り 声を限りに鳴くごとく長い秋の夜を泣き通しても 流れつづける涙ですこと どうにも車に乗り込めません。
大構造(涙かな/三次φえも乗りやらず/一次)& 係り受け
〈鈴虫〉の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな 〈[命婦]〉えも乗りやらず
「あかず」:夜が「開かず」と涙が「飽かず」が掛詞
「ふる」:涙が降ると羽を振るが掛詞、鈴虫の鈴と振るが縁語
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「声の限りを尽くしても」→「あかずふる」
桐壺 注釈 第6章12
鈴虫 01-076
王朝文学に出る「鈴虫」は今日チンチロリンと泣く松虫のことであり、今日リンリンとなく鈴虫は松虫といった。
助詞の識別/助動詞の識別:
鈴虫の 声の限りを尽くしても 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の識別:
鈴虫の 声の限りを尽くして も 長き夜あかずふる涙かな えも乗りやらず
尊敬語 謙譲語 丁寧語
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:命婦
《鈴虫の声の限りを尽くしても》A
松虫が羽を振り 声を限りに鳴くごとく
《長き夜あかずふる涙かな》B
長い秋の夜を泣き通しても 流れつづける涙ですこと
《えも乗りやらず》C
どうにも車に乗り込めません。
中断型:A<BφC:A<B、C
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用