主上も限りなき御思 138

2020-07-0301 桐壺01章~10章☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺01章~10章,,たり(完了),,なり(断),べし,

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第9章12

主上も限りなき御思ひどちにて な疎みたまひそ あやしくよそへきこえつべき心地なむする なめしと思さでらうたくしたまへ つらつきまみなどはいとよう似たりしゆゑ かよひて見えたまふも似げなからずなむ など聞こえつけたまへれば 幼心地にも はかなき花紅葉につけても 心ざしを見えたてまつる

うへ/も/かぎりなき/おほむ-おもひどち/にて な/うとみ/たまひ/そ あやしく/よそへ/きこエ/つ/べき/ここち/なむ/する なめし/と/おぼさ/で/らうたく/し/たまへ つらつき/まみ/など/は/いと/よう/に/たり/し/ゆゑ かよひ/て/みエ/たまふ/も/にげなから/ず/なむ など/きこエつけ/たまへ/れ/ば をさなごこち/に/も はかなき/はな/もみぢ/に/つけ/て/も こころざし/を/みエ/たてまつる

エ:や行の「え」

帝にしても限りなく愛しい同士の二人なので、疎んではなりませんよ。あの子は不思議と母になぞらえたい気持ちでいるのです。無礼だとお思いにならずかわいがってあげなさい。顔立ちまなざしなど母はとてもよく似ていたので、あなたが母に見えるのも無理からぬことでなど、藤壺の宮にお頼み申し上げておられたので、幼な心にも桜や紅葉などちょっとした機会にこと寄せお慕いしているお気持ちをお示し申しあげるのでした。

桐壺 注釈 第9章12

御思ひどち 01-138

帝にとって藤壺の宮と光源氏はどちらも愛しい同士の二人であること。

よそへきこえつべき 01-138

「よそふ」対象に敬意が向くので、藤壺の宮を桐壺更衣に比べる、似ていると考える、見立てる。通例主体を帝とするが、直後の「らうたくしたまへ」とのつながりから、光源氏ととるのがよさそうだ。敬語がないので、どちらでも解釈は可能である。

なめし 01-138

無礼。高貴な藤壺の宮を、母である身分の低い桐壺更衣になぞらえることに対して。

らうたく 01-138

かわいい。

似たりし 01-138

桐壺更衣が藤壺の宮に似ていた。敬語がない点に注意。

かよひて見えたまふ 01-138

形容詞の連用形(て)+「見ゆ」+「たまふ」。光源氏には藤壺の宮が桐壺更衣と似通ってお見えになる。「たまふ」は藤壺に対する敬意。

似げなからず 01-138

似つかわしい。

聞こえつけたまへれば 01-138

帝が藤壺にお願い申されておられたので。

情報の階層&係り受け

構文:ば…にも…につけても…を見えたてまつる/二次

〈主上〉も限りなき御思ひどちにて  な疎みたまひそ あやしくよそへきこえつべき 心地なむする なめし と思さでらうたくしたまへ 〈つらつきまみなど〉はいとよう似たりしゆゑ かよひて見えたまふ 〈[の]〉も似げなからずなむなど  聞こえつけたまへれ  〈[光源氏]〉幼心地にも はかなき花紅葉につけても 心ざしを見えたてまつる

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「限りなき御思ひどちにて」→「聞こえつけたまへれば」

語りの対象&構造型

対象:藤壺の宮光源氏桐壺更衣

主上も限りなき御思ひどちにて》A
帝にしても限りなく愛しい同士の二人なので、


な疎みたまひそ・ あやしくよそへきこえつべき心地なむする  なめしと思さでらうたくしたまへ》B・C
疎んではなりませんよ。あの子は不思議と母になぞらえたい気持ちでいるのです。無礼だとお思いにならずかわいがってあげなさい。


つらつきまみなどはいとよう似たりしゆゑ  かよひて見えたまふも 似げなからずなむ・など 聞こえつけたまへれば》D・E
顔立ちまなざしなど母はとてもよく似ていたので、あなたが母に見えるのも無理からぬことでなど、藤壺の宮にお頼み申し上げておられたので、


幼心地にも はかなき花紅葉につけても 心ざしを見えたてまつる》F
幼な心にも桜や紅葉などちょっとした機会にこと寄せお慕いしているお気持ちをお示し申しあげるのでした。

分岐型:A<(B+C+D<)E<F:A<E<F、B+C+D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

附録

助詞の識別

主上限りなき御思ひどち  な疎みたまひ あやしくよそへきこえ べき心地なむする なめし思さらうたくしたまへ つらつきまみなど いとよう似たり ゆゑ かよひ見えたまふ似げなから なむ など 聞こえつけたまへ  幼心地  はかなき花紅葉つけ  心ざし見えたてまつる

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

主上も限りなき思ひどちに て な疎みたまひそ あやしくよそへきこえつ べき心地なむする なめしと思さでらうたくしたまへ つらつきまみなど はいとよう似たり しゆゑ かよひて見えたまふも似げなからず なむ など 聞こえつけたまへれ ば 幼心地に も はかなき花紅葉につけて も 心ざしを見えたてまつる

尊敬語 謙譲語 丁寧語