風の音虫の音につけ 桐壺07章15

2021-04-18

原文 読み 意味

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに 弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

01095/難易度:☆☆☆

かぜ/の/おと/むし/の/ね/に/つけ/て もの/のみ/かなしう/おぼさ/るる/に こうきでん/に/は/ひさしく/うへ-の-み-つぼね/に/も/まうのぼり/たまは/ず つき/の/おもしろき/に/よ/ふくる/まで あそび/を/ぞ/し/たまふ/なる

風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • に…まで…をぞしたまふなる 三次元構造

〈[帝]〉風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるる 〈弘徽殿〉には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろき 夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

助詞と係り受け

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに 弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

「思さるるに」→「したまふなる」


「月のおもしろきに」:「に」は「月の美しさを理由に」と考え格助詞としたが、一般的には「月がうつくしいので」と訳し接続助詞と考える。文体の簡潔さから前者としたに過ぎない。

音虫つけ もののみ悲しう思さるる 弘徽殿久しく上御局参う上りたまは 月おもしろき夜更くるまで 遊びしたまふなる

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:るる ず なる

  • るる:自発・る・連体形
  • :打消・ず・連用形
  • なる:推量・なり・連体形(「ぞ」の結び)
敬語の区別:思す  参う上る たまふ たまふ

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるる に 弘徽殿に は久しく上の局に も参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びを ぞしたまふなる

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

上の御局 01095

帝の普段生活される部屋が清涼殿。その北東の隅に弘徽殿の女御用の上の御局がある。帝の政務は基本昼で終わる。午後から帝は女御・更衣の部屋へゆき、夜は女御・更衣が帝のもとに上がるのが一般則である。

もの 01095

運命、動かしがたい事実。

なる 01095

伝聞の助動詞。

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