風の音虫の音につけ 095

2021-01-2301 桐壺01章~10章,05 空間/天候・風景・自然・環境,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代

風の音虫の音につけてもののみ悲しう思さるるに弘徽殿には久しく 原文 読み 意味 桐壺第7章15/源氏物語

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに 弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

かぜ/の/おと/むし/の/ね/に/つけ/て もの/のみ/かなしう/おぼさ/るる/に こうきでん/に/は/ひさしく/うへ-の-み-つぼね/に/も/まうのぼり/たまは/ず つき/の/おもしろき/に/よ/ふくる/まで あそび/を/ぞ/し/たまふ/なる

風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

大構造(に…まで…をぞしたまふなる/三次)& 係り受け

〈[帝]〉風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるる 〈弘徽殿〉には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろき 夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「思さるるに」→「したまふなる」


「月のおもしろきに」:「に」は「月の美しさを理由に」と考え格助詞としたが、一般的には「月がうつくしいので」と訳し接続助詞と考える。文体の簡潔さから前者としたに過ぎない。

物語の深部を支える重要語句へのアプローチ

上の御局

帝の普段生活される部屋が清涼殿。その北東の隅に弘徽殿の女御用の上の御局がある。帝の政務は基本昼で終わる。午後から帝は女御・更衣の部屋へゆき、夜は女御・更衣が帝のもとに上がるのが一般則である。

桐壺 注釈 第7章15

もの 01-095

運命、動かしがたい事実。

なる 01-095

伝聞の助動詞。

助詞の識別/助動詞の識別:

音虫つけ もののみ悲しう思さるる 弘徽殿久しく上御局参う上りたまは 月おもしろき夜更くるまで 遊びしたまふなる

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別:

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるる に 弘徽殿に は久しく上の局に も参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びを ぞしたまふなる

尊敬語 謙譲語 丁寧語

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:弘徽殿の女御

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに》 A
風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、


弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず》B
弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、


月のおもしろきに 夜更くるまで遊びをぞしたまふなる》 C
月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用