風の音虫の音につけ 095

2020-09-07☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,05 空間/天候・風景・自然・環境,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第7章15

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに 弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

かぜ/の/おと/むし/の/ね/に/つけ/て もの/のみ/かなしう/おぼさ/るる/に こうきでん/に/は/ひさしく/うへ-の-み-つぼね/に/も/まうのぼり/たまは/ず つき/の/おもしろき/に/よ/ふくる/まで あそび/を/ぞ/し/たまふ/なる

風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

解釈の決め手

上の御局

帝の普段生活される部屋が清涼殿。その北東の隅に弘徽殿の女御用の上の御局がある。帝の政務は基本昼で終わる。午後から帝は女御・更衣の部屋へゆき、夜は女御・更衣が帝のもとに上がるのが一般則である。

桐壺 注釈 第7章15

もの 01-095

運命、動かしがたい事実。

なる 01-095

伝聞の助動詞。

語りの対象&構造型

対象:弘徽殿の女御

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるるに》 A
風の音虫の音を聞くにつけて、帝はこの宿命のことばかりを悲しくお思いなのに、


弘徽殿には久しく上の御局にも参う上りたまはず》B
弘徽殿の女御ときては久しく上の御局にも上がらず、


月のおもしろきに 夜更くるまで遊びをぞしたまふなる》 C
月のうつくしさにかこつけ、夜が更けるまで管絃の遊びをなさっている音がする。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:に…まで…をぞしたまふなる/三次

〈[帝]〉風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるる  〈弘徽殿〉には久しく上の御局にも参う上りたまはず 月のおもしろき 夜更くるまで 遊びをぞしたまふなる

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「思さるるに」→「したまふなる」


「月のおもしろきに」:「に」は「月の美しさを理由に」と考え格助詞としたが、一般的には「月がうつくしいので」と訳し接続助詞と考える。文体の簡潔さから前者としたに過ぎない。

附録

助詞の識別

音虫つけ もののみ悲しう思さるる  弘徽殿 久しく上御局 参う上りたまは 月おもしろき夜更くるまで 遊び したまふなる

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

風の音虫の音につけて もののみ悲しう思さるる に 弘徽殿に は久しく上の局に も参う上りたまはず 月のおもしろきに夜更くるまで 遊びを ぞしたまふなる

尊敬語 謙譲語 丁寧語