思し紛るとはなけれ 135
原文 読み 意味 桐壺09章09@源氏物語
思し紛るとはなけれど おのづから御心移ろひて こよなう思し慰むやうなるも あはれなるわざなりけり
おぼし-まぎる/と/は/なけれ/ど おのづから/み-こころ/うつろひ/て こよなう/おぼし-なぐさむ/やう/なる/も あはれ/なる/わざ/なり/けり
お気持ちが紛れるというのでもないけれどおのずと御心がお移りになりこの上なく慰むようにおなりなのも、人の情のなす哀れな業と言うものでしょうか。
文構造&係り受け
主語述語と大構造 も…わざなりけり
〈[帝]〉思し紛るとはなけれど おのづから〈御心〉移ろひて こよなう思し慰むやうなる〈[の]〉も あはれなるわざなりけり
色分:〈主語〉助詞・述語 [ ]:補充 //挿入 |:休止 @@・@@・@@・@@:分岐
機能語と係り受け
思し紛るとはなけれど おのづから御心移ろひて こよなう思し慰むやうなるも あはれなるわざなりけり
助詞・助動詞の識別:なる なり けり
- なる:
- なり:
- けり:
思し紛るとはなけれど おのづから御心移ろひて こよなう思し慰むやうなるも あはれなるわざなりけり
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の区別:思す 御 思す
思し紛ると はなけれど おのづから御心移ろひて こよなう思し慰むやうなる も あはれなるわざなり けり
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪;失われた意味を求めて
あはれなるわざ 01-135:形容詞の叙述用法
「あはれ」という人の情がなす「わざ」。「わざ」は神意のように深い意味のこめられた事柄。
思し慰むやうなるも 01-135
「慰むやとさるべき人びと参らせたまへどなずらひに思さるるだにいとかたき世かなと疎ましうのみよろづに思しなりぬるに(「慰めになろうか」と、夫人にふさわしい方々をお召しになるが、比べてみるお気持ちになる人さえ「全く見つからぬ世の中である」と、疎ましいとばかり万事をお考えになっておいででしたが)/01-128」を受ける表現。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:帝/語り手の判断
《思し紛るとはなけれど・おのづから御心移ろひて こよなう思し慰むやうなるも》A・B
お気持ちが紛れるというのでもないけれどおのずと御心がお移りになりこの上なく慰むようにおなりなのも、
《あはれなるわざなりけり》C
人の情のなす哀れな業と言うものでしょうか。
直列型:A→B→C:A→B→C
A→B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉→:修飾 #:倒置
〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉|:中止法・独立文 //:挿入
〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B 〈分配型〉A→B*C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用