同じほど それより 003

2020-09-0301 桐壺

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第1章03

同じほど それより下﨟の更衣たちは ましてやすからず

おなじ/ほど それ/より/げらふ/の/かうい-たち/は まして/やすから/ず

同じ位やそれより下位の更衣たちは、まして気が休まらず、

解釈の決め手

やすからず:闇の世界

身分の低い更衣ふぜいに出し抜かれた女御たちが心穏やかではないのはわかる。しかし、登場人物としてさして意味のない更衣たちの気持ちが穏やかであろうがなかろうが、どうでもよいはずなのに、この一文を挿入した狙いは何か、なぜ身分の低い更衣たちに対して「まして」が使われているのかを、読み取る必要がある。 「やすからず」を終止形と考えると、更衣たちの気持ちで終わってしまう。これを連用中止とみてみよう。 女御たちはおとしめそねむことで気持ちがおさまったが、更衣たちはそんなことでは気がおさまらず、直接的手段に訴えた、と読める。 しばらく後のくだりで、「打橋渡殿のここかしこの道にあやしきわざをしつつ」とあり、また「馬道の戸を鎖しこめこなたかなた心を合はせてはしたなめわづらはせたまふ」と、陰険な仕打ちをしたことが語られる。前者は敬語がないことから更衣たちの行動とみてよく、後者は女御が主体であるが使役の「せ」があるので、実際の行動をとったのは更衣たちであったろう。これらのことと関係がありそうだが、通常の解釈では、たちの悪いいやがらせ程度であって、「まして」と断る理由がつかめない。これらに秘められた口をはばかる呪詛に関しては当該箇所で述べる。

桐壺 注釈 第1章03

ほど 01-003

位、身分。本来は程度を指すので幅があり、同質。それに対して「際」は同じ身分の意味でも、区別することに軸足がある表現。

下﨟 01-003

本来は授戒後まだ日の浅い僧侶を指す語で、宮廷生活にも比喩的になぞられられることがあったのだろう。年季が浅く、それゆえ地位も低く重きを置かれない身分をいう。桐壺更衣は、死後に位が一等上がり、従三位という女御並みの位を追贈されるので、生前は四位相当と考えられる。「下﨟」は位では五位ということになる。

語りの対象&構造型

対象:更衣たち

同じほどそれより下﨟の更衣たちは・ましてやすからず》A・B
同じ位やそれより下位の更衣たちは、まして気が休まらず、

直列型:A<B:A<B

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:は…やすからず/一次

〈同じほど それより下臈の更衣たち〉は ましてやすからず

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「ましてやすからず」:連用中止(終止形による文末と考えても良い)

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

助動詞:

同じほど それより下臈更衣たち ましてやすから

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語:

同じほど それより下臈の更衣たちは ましてやすからず

尊敬語 謙譲語 丁寧語

2020-09-0301 桐壺

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