その夜大臣の御里に 桐壺10章26
目次
原文 読み 意味
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
01166/難易度:☆☆☆
その/よ おとど/の/おほむ-さと/に げんじ-の-きみ/まかで/させ/たまふ
その夜は帝は源氏の君を左大臣邸へとお出しになる。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- に…まかでさせたまふ 一次元構造
その夜 大臣の御里に 〈[帝]〉源氏の君まかでさせたまふ
助詞と係り受け
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:させ
- させ:使役・さす・連用形
敬語の区別:御 まかづ たまふ
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
まかでさせたまふ 01166:帝の許しなしに内裏の出入りはできない
主語を源氏の君とする説がある。源氏の君に対して最高敬語はありえないので「させ」は使役となり、帝が行くように仕向けと解釈する以外にないかが前後の文脈から補足しておく。「もののつつましきほどにて/01156」とあり、ひどく恥じらっていたとする描写があるからには、左大臣邸に主体的に行ったとはとりずらい。内裏というトポスは帝の意思を第一義的に考える空間であり、光源氏も語り手もその制約の中にある。さらに「幼きほどの心一つにかかりていと苦しきまでぞおはしける/01156」とあり、これは葵の上と結ばれた以後の描写ではあるが、藤壺への思慕は葵の上との初夜における光源氏の行動にも深く影響していたと考えるのが自然であろう。