その夜 大臣の御里 166
その夜大臣の御里に源氏の君まかでさせたまふ 原文 読み 意味 桐壺第10章26/源氏物語
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
その/よ おとど/の/おほむ-さと/に げんじ-の-きみ/まかで/させ/たまふ
その夜は帝は源氏の君を左大臣邸へとお出しになる。
大構造(に…まかでさせたまふ/一次)& 係り受け
その夜 大臣の御里に 〈[帝]〉源氏の君まかでさせたまふ
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
物語の深部を支える重要語句へのアプローチ
まかでさせたまふ:帝の許しなしに内裏の出入りはできない
主語を源氏の君とする説がある。源氏の君に対して最高敬語はありえないので「させ」は使役となり、帝が行くように仕向けと解釈する以外にないかが前後の文脈から補足しておく。「もののつつましきほどにて/01-156」とあり、ひどく恥じらっていたとする描写があるからには、左大臣邸に主体的に行ったとはとりずらい。内裏というトポスは帝の意思を第一義的に考える空間であり、光源氏も語り手もその制約の中にある。さらに「幼きほどの心一つにかかりていと苦しきまでぞおはしける/01-156」とあり、これは葵の上と結ばれた以後の描写ではあるが、藤壺への思慕は葵の上との初夜における光源氏の行動にも深く影響していたと考えるのが自然であろう。
助詞の識別/助動詞の識別:さす
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の識別:御 まかづ たまふ
その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:帝/左大臣邸/光源氏
《その夜 大臣の御里に 源氏の君まかでさせたまふ》A
その夜は帝は源氏の君を左大臣邸へとお出しになる。
直列型:A:A
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用