息も絶えつつ 聞こ 032 ★☆☆

2020-09-04★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代,,

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第3章09

息も絶えつつ 聞こえまほしげなることはありげなれど いと苦しげにたゆげなれば かくながらともかくもならむを 御覧じはてむと思し召すに 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれる 今宵よりと 聞こえ急がせば わりなく思ほしながら まかでさせたまふ

いき/も/たエ/つつ きこエ/まほしげ/なる/こと/は/ありげ/なれ/ど いと/くるしげ/に/たゆげ/なれ/ば かく/ながら/ともかくも/なら/む/を ごらんじ-はて/む/と/おぼしめす/に けふ/はじむ/べき/いのり-ども さるべき/ひとびと/うけたまはれ/る こよひ/より/と きこエ/いそがせ/ば わりなく/おもほし/ながら まかで/させ/たまふ

エ:や行の「え」

息も絶え絶えに、申し上げておきたいことがおありの様子ながら、どうにも苦しげで辛そうなので、このままどうなれ結果を見届けようと、帝は決心なさるが、今日始めねばなりませぬご祈祷など、例の立派な験者たちが承っております、今宵にもと側女がせき立て申し上げるので、気持ちの納めようもないご心痛ながら、退出をお許しになったのです。

解釈の決め手

聞こえまほしげなること:女か母か母か女か

二つの解釈が可能である。 「息の絶えつつ」の前で文を切る場合(女から母に戻る解釈):光の君の後見をくれぐれもお願いすること。 「息の絶えつつ」の前で切らない場合:(女のままの意識):お約束を守れず申し訳ございませんという帝への別れの挨拶。 しかし、「いとかく思ひたまへましかば、と」を意味的に下にかけることには無理があるので、前の解釈の方が落ち着くように思う。

桐壺 注釈 第3章09

かくながら 01-032

この状態のまま。

ともかくもならむ 01-032

死を忌避した婉曲表現。

御覧じはてむ 01-032

最後の最後まで見届けよう。

さるべき 01-032

そうあるべき、それに相応しい、即ち、適任者・立派なの意味。

わりなく 01-032

道理にあわないが原義。意に反するが。

語りの対象&構造型

対象:桐壺更衣修験者不明ながら帝つきの女官(上宮仕へ人)

息も絶えつつ・聞こえまほしげなることはありげなれど いと苦しげにたゆげなれば》A・B
息も絶え絶えに、申し上げておきたいことがおありの様子ながら、どうにも苦しげで辛そうなので、

かくながらともかくもならむ を 御覧じはてむと思し召すに》 C
このままどうなれ結果を見届けようと、帝は決心なさるが、

今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれる 今宵より と・聞こえ急がせば》 D・E
今日始めねばなりませぬご祈祷など、例の立派な験者たちが承っております、今宵にもと側女がせき立て申し上げるので、

わりなく思ほしながら まかでさせたまふ》F
気持ちの納めようもないご心痛ながら、退出をお許しになったのです。

分岐型:A<B<C<(D<)E<F:A<B<C<E<F、D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:ば…思ほしながらまかでさせたまふ/六次

〈[御息所]〉 〈息〉も絶えつつ 聞こえまほしげなることはありげなれ  いと苦しげにたゆげなれ  〈[帝]〉かくながらともかくもならむ 御覧じはてむ と思し召す  今日始むべき祈りども さるべき〈人びと〉うけたまはれる 今宵より  〈[近習]〉聞こえ急がせ  〈[帝]〉わりなく思ほしながら まかでさせたまふ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「息も絶えつつ」→「聞こえまほしげなる」

附録

助詞の識別

絶えつつ 聞こえまほしげなることありげなれ いと苦しげにたゆげなれ かくながらともかくもなら  御覧じはて 思し召す 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれ 今宵より  聞こえ急がせ わりなく思ほしながら まかでさせたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

息も絶えつつ 聞こえまほしげなることはありげなれど いと苦しげにたゆげなれば かくながらともかくもならむ を 御覧じはてむ と思し召すに 今日始むべき祈りども さるべき人びとうけたまはれる 今宵より と 聞こえ急がせば わりなく思ほしながら まかでさせたまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語