心細きさまにておは 桐壺09章04
目次
原文 読み 意味
心細きさまにておはしますに ただわが女皇女たちの同じ列に思ひきこえむ といとねむごろに聞こえさせたまふ
01130/難易度:☆☆☆
こころ-ぼそき/さま/にて/おはします/に ただ/わが/をむなみこ-たち/の/おなじ/つら/に/おもひ/きこエ/む と/いと/ねむごろ/に/きこエさせ/たまふ
四の宮が心細い気持ちでいらっしゃったところ、「ただわたしの娘たちと同じ皇女の列に加わらせていただきたくて」と帝は大層心を込めてお誘いになる。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- に…と…聞こえさせたまふ 二次元構造
〈[姫宮]〉心細きさまにておはしますに @ただわが女皇女たちの同じ列に思ひきこえむと@ 〈[帝]〉いとねむごろに聞こえさせたまふ
助詞と係り受け
心細きさまにておはしますに ただわが女皇女たちの同じ列に思ひきこえむ といとねむごろに聞こえさせたまふ
「心細きさまにておはしますに」→「といとねむごろに聞こえさせたまふ」
心細きさまにておはしますに ただわが女皇女たちの同じ列に思ひきこえむ といとねむごろに聞こえさせたまふ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:に む させ
- に:断定・なり・連用形
- む:意思・む・終止形
- させ:尊敬・さす・連用形
敬語の区別:おはします きこゆ 聞こゆ させたまふ
心細きさまに ておはしますに ただわが女皇女たちの同じ列に思ひきこえむ といとねむごろに聞こえさせたまふ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
同じ列 01130:先帝と一院の関係
藤壺は先帝の娘で皇族の血を引いている。光源氏の父帝は一院の子とされていて、一院と先帝の系譜関係ははっきりしない。「同じ列に」考えてほしいということは、現在、皇女と認められていないことになり、先帝と一院とは別系統の皇統であったようだ。
心細き 01130
後見がないことを痛感する。
いとねむごろに聞こえさせたまふ 01130
「ねむごろに聞こえさせたまひけり/01128」にもあった。三度あれば三顧の礼となるが、続く文では後見たちの勧めという形をとる。