かくてもおのづから 089
かくてもおのづから若宮など生ひ出でたまはばさるべきついでもありなむ命長く 原文 読み 意味 桐壺第7章09/源氏物語
かくてもおのづから 若宮など生ひ出でたまはば さるべきついでもありなむ 命長くとこそ思ひ念ぜめなど のたまはす
かく/て/も/おのづから わかみや/など/おひ-いで/たまは/ば さるべき/ついで/も/あり/な/む /いのち/ながく/と/こそ/おもひ-ねんぜ/め/など のたまはす
こうなった今でも自然と、宮などご成長なさったら、相応な機会もきっとある。長生きをこそ念じなさい、などと母君への言づけをお伝えになる。
大構造(のたまはす/三次)& 係り受け
@かくてもおのづから @〈若宮など〉生ひ出でたまはば@ さるべき〈ついで〉もありなむ 命長くとこそ思ひ念ぜめなど@ 〈[帝]〉のたまはす
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「かくても」「おのづから」(並列)→「ありなむ」(文の中止)
桐壺 注釈 第7章09
かくても 01-089
更衣は亡くなり、宮仕えに対する感謝の気持ちを示すことができなかったが、こうなった今でも。
生ひ出で 01-089
大きく育って表面にでる。成長する意だが、頭角を現すこともふくむであろう。
さるべきついで 01-089
しかるべき機会。光の君を東宮に冊立するなどの機会。
思ひ念ぜめ 01-089
心に強く願っていなさい。今はじっと我慢しなさいなど。「め(むの已然形)」は勧誘。
助詞の識別/助動詞の識別:
かくてもおのづから 若宮など生ひ出でたまはば さるべきついでもありなむ 命長くとこそ思ひ念ぜめなど のたまはす
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の識別:
かくてもおのづから 若宮など生ひ出でたまはば さるべきついでもありな む 命長くと こそ思ひ念ぜ めなど のたまはす
尊敬語 謙譲語 丁寧語
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:帝/光源氏/母君
《かくてもおのづから》A
こうなった今でも自然と、
《若宮など生ひ出でたまはば・さるべきついでもありなむ》 B・C
宮などご成長なさったら、相応な機会もきっとある。
《命長くとこそ思ひ念ぜめ・などのたまはす》D・E
長生きをこそ念じなさい、などと母君への言づけをお伝えになる。
分岐型・中断型:A<(B<)C<φ*C+D<E:A<C、B<C、*C+D<E
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用