年ごろ常の篤しさに 025 ★☆☆

2021-01-2301 桐壺01章~10章,

年ごろ常の篤しさになりたまへれば御目馴れて 原文 読み 意味 桐壺第3章02/源氏物語

年ごろ常の篤しさになりたまへれば 御目馴れてなほしばしこころみよとのみのたまはするに 日々に重りたまひて ただ五六日のほどにいと弱うなれば 母君泣く泣く奏してまかでさせたてまつりたまふ

としごろ/つね/の/あづしさ/に/なり/たまへ/れ/ば おほむ-め/なれ/て/なほ/しばし/こころみ/よ/と/のみ/のたまはする/に ひび/に/おもり/たまひ/て ただ/いつ-か/むゆ-か/の/ほど/に/いと/よわう/なれ/ば ははぎみ/なくなく/そうし/て/まかで/させ/たてまつり/たまふ

何年来ご不調が常のご様子でいらっしゃったために、見慣れておいでの帝は、もうしばらく様子をみよとだけお命じになられるが、病態は日に日に悪化し、わずか五六日のうちにひどく衰弱してしまわれたので、母君が泣く泣く帝に奏上し、退出なされるようにしておあげになりました。

大構造(ば…奏してまかでさせたてまつりたまふ/四次)& 係り受け

〈[御息所]〉年ごろ常の篤しさになりたまへれ 〈[帝]〉〈御目〉馴れてなほしばしこころみよのみのたまはする 〈[御息所]〉日々に重りたまひて ただ五六日のほどいと弱うなれ 〈母君〉泣く泣く奏してまかでさせたてまつりたまふ

主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

物語の深部を支える重要語句へのアプローチ

奏してまかでさせたてまつりたまふ

「動詞A+て+動詞B」では主体が変わらないのが一般的である。従って「奏し」たのが母君であれば、「まかでさせ」た主体も母君と読むのが自然である。「まかでさせ」た行為に対して、「たてまつり」は客体の更衣に、「たまふ」は主体の母君に、敬意を及ぼす。意味上、「まかでさせ」る権限をもつのは帝のみであるが、地の文で「たてまつり」という客体敬意はなじまない。「奏する」と「まかでさせ」の主体を変えるなら、「奏するに、まかでさせたまふ」「奏したまへば、まかでさせたまふ」などとなる。

桐壺 注釈 第3章02

年ごろ 01-025

この何年来。

常の篤しさ 01-025

病気が慢性化していること。

なほ 01-025

これまで同様、なおもう少し。桐壺更衣の死の予感、あるいは更衣自身さえ気づいていない運命の急転換(呪いによる不自然死)と、帝の認識にズレがあることからドラマ性が生じる。

ただ五六日のほどにいと弱うなれば 01-025

桐壺更衣の母の言葉「横様なるやうにてつひにかくなりはべりぬれば//01-070」、藤壺の宮の母の言葉「桐壺の更衣のあらはにはかなくもてなされにし例もゆゆしう/01-129」から、呪詛などによる不自然死が想定される。

助詞の識別/助動詞の識別:

年ごろ常篤しさなりたまへ 御目馴れなほしばしこころみよのみのたまはする 日々重りたまひ ただ五六日ほどいと弱うなれ 母君泣く泣く奏しまかでさせたてまつりたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別:

年ごろ常の篤しさになりたまへれ ば 目馴れてなほしばしこころみよと のみのたまはするに 日々に重りたまひて ただ五六日のほどにいと弱うなれば 母君泣く泣く奏しまかでさせたてまつりたまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語

附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)

語りの対象:御息所(桐壺更衣)母君(桐壺更衣の母)

年ごろ常の篤しさになりたまへれば 御目馴れて・なほしばしこころみよと・のみのたまはするに》A・B・C
何年来ご不調が常のご様子でいらっしゃったために、見慣れておいでの帝は、もうしばらく様子をみよとだけお命じになられるが、


日々に重りたまひて ただ五六日のほどにいと弱うなれば》D
病態は日に日に悪化し、わずか五六日のうちにひどく衰弱してしまわれたので、


母君泣く泣く奏して まかでさせたてまつりたまふ》E
母君が泣く泣く帝に奏上し、退出なされるようにしておあげになりました。

分岐型:A<(B<)C<D<E:A<C<D<E、B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

2021-01-2301 桐壺01章~10章,

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