母后 あな恐ろしや 129 ★☆☆

2020-09-1101 桐壺01章~10章★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺01章~10章,けり,,,る・らる

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第9章03

母后 あな恐ろしや 春宮の女御のいとさがなくて 桐壺の更衣のあらはにはかなくもてなされにし例もゆゆしうと思しつつみて すがすがしうも思し立たざりけるほどに 后も亡せたまひぬ

はは-ぎさき あな/おそろし/や とうぐう-の-にようご/の/いと/さがなく/て きりつぼ-の-かうい/の/あらは/に/はかなく/もてなさ/れ/に/し/ためし/も/ゆゆしう/と/おぼし-つつみ/て すがすがしう/も/おぼし-たた/ざり/ける/ほど/に きさき/も/うせ/たまひ/ぬ

母后は、まあ恐ろしい、東宮の母はとても性悪で桐壺の更衣があんなにはっきりとあっけない最期を迎えるはめになった例も忌まわしいのにと、口をつぐみ前向きに事をお進めにならないうちに、后も亡くなってしまわれた。

解釈の決め手

はかなく:不自然死

取るに足らないとの意味で解釈されているが、「あな恐ろしや」、「ゆゆしう(不吉な)」などの関連から、あきらかにあっけない最期を迎えさせられたのも不吉で、ほどの意味。

思しつつみ:明言するの反対

「慎(つつ)み」と考え警戒すると解釈されているが、感情を押し殺す意味。「ゆゆしう」で止め、後につづく表現を押し殺して口にしなかったことを受ける。はっきり口にしたら、母后の身にも害が及ぶと判断したのである。それほどに弘徽殿の女御の権力は強く、各所にスパイを置いていたのであろう。

桐壺 注釈 第9章03

さがなく 01-129

性格がねじ曲がっている。

あらはに 01-129

「はかなくもてなされにし」ことが「あらはなり」。

すがすがしう 01-129

停滞なく。

思し立たざりけるほどに 01-129

気乗りしない、決心がつかないうちに。

語りの対象&構造型

対象:藤壺の宮の母后弘徽殿女御桐壺更衣

母后 あな恐ろしや  春宮の女御のいとさがなくて  桐壺の更衣のあらはにはかなくもてなされにし例も ゆゆしうと思しつつみて》A
母后は、まあ恐ろしい、東宮の母はとても性悪で桐壺の更衣があんなにはっきりとあっけない最期を迎えるはめになった例も忌まわしいのにと、


すがすがしうも思し立たざりけるほどに・后も亡せたまひぬ》B・C
口をつぐみ前向きに事をお進めにならないうちに、后も亡くなってしまわれた。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:に…も亡せたまひぬ/二次

〈母后〉 @あな恐ろしや 〈春宮の女御の〉いとさがなくて 〈桐壺の更衣の〉あらはにはかなくもてなされにし 〈例〉もゆゆしう   思しつつみて すがすがしうも思し立たざりけるほど 〈后〉も亡せたまひぬ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「后」は「母后」の言い換え。

係り受け&主語述語

「いとさがなくて」→「もてなされにし」

附録

助詞の識別

母后 あな恐ろし 春宮女御いとさがなく 桐壺更衣あらはにはかなくもてなさ ゆゆしう思しつつみ すがすがしう思し立たざり けるほど 后亡せたまひ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

母后 あな恐ろしや 春宮の女御のいとさがなくて 桐壺の更衣のあらはにはかなくもてなされ に し例もゆゆしうと思しつつみて すがすがしうも思し立たざり けるほどに 后も亡せたまひ

尊敬語 謙譲語 丁寧語