いとかうしも見えじ 087 ★★★

2020-09-0701 桐壺01章~10章★★★:源氏千年の謎に挑む01 桐壺01章~10章,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代,,す・さす,,,る・らる

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第7章07

いとかうしも見えじと思し静むれど さらにえ忍びあへさせたまはず 御覧じ初めし年月のことさへかき集め よろづに思し続けられて 時の間もおぼつかなかりしを かくても月日は経にけり とあさましう思し召さる

いと/かう/しも/みエ/じ/と/おぼし/しづむれ/ど さらに/え/しのびあへ/させ/たまは/ず ごらんじ/はじめ/し/としつき/の/こと/さへ/かきあつめ よろづ/に/おぼし/つづけ/られ/て とき/の/ま/も/おぼつかなかり/し/を かく/て/も/つきひ/は/へ/に/けり と/あさましう/おぼしめさ/る

帝は人からそんな風には見られまいと気持ちを静めようとなさるが、少しも我慢おできにならず、あの方と初めて契りを交わした日まで遡り、ありとあらゆる追想に耽られて、往事は束の間もいたたまれなかったが、それでも月日は過ぎ行くものかと、我が身ながらあきれてしまわれるのでした。

解釈の決め手

いとかうしも見えじ:かうしもは何を受けるか

「かうしも」は母君の歌「(帝は)静心なき/01-086」を受ける。通例、桐壺の母君のように「乱りがはし」く見られたくないと解釈するが、一国の帝が更衣の母を基準に行動規範を考えるなどということはあり得ない。第一、母君は取り乱してはいない。前文の注を参照。

ご覧じ初めし:初夜の思い出から

「ご覧ず」は「見る」の尊敬語。「見る」は、一般に女性と交わることをいう。普段見ることが許されない女性を見る機会は、直接的に性行為と結びつく。当時の「(顔を)見る」は、今ならさしずめ、「下着姿か丸裸を見る」に等しい。女性にしても、顔を見られることは、恐怖と性的興奮を覚えたことだろう。

語りの対象&構造型

対象:

いとかうしも見えじと思し静むれど》A
帝は人からそんな風には見られまいと気持ちを静めようとなさるが、


さらにえ忍びあへさせたまはず》B
少しも我慢おできにならず、


御覧じ初めし年月のことさへかき集め よろづに思し続けられて》 C
あの方と初めて契りを交わした日まで遡り、ありとあらゆる追想に耽られて、


時の間もおぼつかなかりしを かくても月日は経にけりと》 D
往事は束の間もいたたまれなかったが、それでも月日は過ぎ行くものかと、


あさましう思し召さる》E
我が身ながらあきれてしまわれるのでした。

分岐型:A<B<C<(D<)E:A<B<C<E、D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:と思し召さる/四次

〈[帝]〉いとかうしも見えじ と思し静むれ  さらにえ忍びあへさせたまはず 御覧じ初めし年月のことさへかき集め よろづに思し続けられて 時の間もおぼつかなかりしを かくても〈月日〉は経にけり  あさましう思し召さる

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「時の間もおぼつかなかりしを」:終助詞/接続助詞(も可)→「かくても〈月日は〉経にけり」

附録

助詞の識別

いとかうしも見え 思し静むれ さらにえ忍びあへさせたまは 御覧じ初め年月ことさへかき集め よろづ思し続けられ  時の間おぼつかなかり  かくて月日 けり あさましう思し召さ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

いとかうしも見えじ と思し静むれど さらにえ忍びあへさせ たまはず 御覧じ初めし年月のことさへかき集め よろづに思し続けられ て 時の間もおぼつかなかりし を かくても月日は経に けり とあさましう思し召さ

尊敬語 謙譲語 丁寧語