夕月夜のをかしきほ 桐壺05章02

2021-03-27

原文 読み 意味

夕月夜のをかしきほどに 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

01051/難易度:☆☆☆

ゆふづくよ/の/をかしき/ほど/に いだしたて/させ/たまひ/て やがて/ながめ/おはします

夕月が夜空に美しく昇った頃に使者をお立てになり、そのまま月をぼんやりと眺めておいでで。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • に出だし立てさせたまひて…眺めおはします 二次元構造

〈[帝]〉夕月夜のをかしきほど 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

助詞と係り受け

夕月夜のをかしきほどに 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

  • をかしきほど→出だし立てさせたまふ
  • 出だし立てさせたまひ→眺めおはします

/01050文は内裏の外、/01051は内裏の内、命婦を使者に立てた同じ内容の描写だが、命婦の視点と帝の視点の二つに分けて描く。ふたつの視点は時間軸が同時並行している点に注意。

夕月夜をかしきほど 出だし立てさせたまひ やがて眺めおはします

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:させ

  • させ:尊敬・さす・連用形/「させたまふ」:最高敬語
敬語の区別:させたまふ おはします

夕月夜のをかしきほどに 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

夕月夜 01051:何月何日?

野分は二百十日、二百二十日の異称がある通り、立春から数えて、二百十日目、二百二十日目頃に吹く台風(秋雨前線による疾風)とされる。年によって違うが、陰暦で二百十日は九月一日頃、二百二十日は九月十日頃とする。陰暦一日は無月だからこの設定にあわない。十日なら夕方に月が出るので、だいたいそのあたりと思ってよい。野分により空気の汚れは吹き飛ばされ、一年でも月が大きくなっているので(八月十五夜からおよそ一月後)、月が殊の外美しかったことが想像される。

眺め 01051:月の魔力

月を眺めることだが、中古文で眺めとは、ぼんやりと物思いにふけることをいうが、この場合は少し特殊。陰の気が増えすぎるためか、月を長く直視することはタブーとされていた。ここでも、桐壺更衣を思いながら月を眺めながているうちに、月の光を浴びすぎ、幻影を見てしまう。

出し立つ

出発させる。使役の意味であるから、「出だし立てさせたまひ」の「させ」は使役にはならない。「させたまふ」は最高敬語である。

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