夕月夜のをかしきほ 051

2020-09-07☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第5章02

夕月夜のをかしきほどに 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

ゆふづくよ/の/をかしき/ほど/に いだしたて/させ/たまひ/て やがて/ながめ/おはします

夕月が夜空に美しく昇った頃に使者をお立てになり、そのまま月をぼんやりと眺めておいでで。

解釈の決め手

夕月夜:何月何日?

野分は二百十日、二百二十日の異称がある通り、立春から数えて、二百十日目、二百二十日目頃に吹く台風(秋雨前線による疾風)とされる。年によって違うが、陰暦で二百十日は九月一日頃、二百二十日は九月十日頃とする。陰暦一日は無月だからこの設定にあわない。十日なら夕方に月が出るので、だいたいそのあたりと思ってよい。野分により空気の汚れは吹き飛ばされ、一年でも月が大きくなっているので(八月十五夜からおよそ一月後)、月が殊の外美しかったことが想像される。

眺め:月の魔力

月を眺めることだが、中古文で眺めとは、ぼんやりと物思いにふけることをいうが、この場合は少し特殊。陰の気が増えすぎるためか、月を長く直視することはタブーとされていた。ここでも、桐壺更衣を思いながら月を眺めながているうちに、月の光を浴びすぎ、幻影を見てしまう。

語りの対象&構造型

対象:

夕月夜のをかしきほどに 出だし立てさせたまひて》A
夕月が夜空に美しく昇った頃に使者をお立てになり、


やがて眺めおはします》 B
そのまま月をぼんやりと眺めておいでで。

直列型:A<B:A<B

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:に出だし立てさせたまひて…眺めおはします/一次

〈[帝]〉夕月夜のをかしきほど 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

/01-050文は内裏の外、/01-051は内裏の内、命婦を使者に立てた同じ内容の描写だが、命婦の視点と帝の視点の二つに分けて描く。ふたつの視点は時間軸が同時並行している点に注意。

附録

助詞の識別

夕月夜をかしきほど 出だし立てさせたまひ やがて眺めおはします

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

夕月夜のをかしきほどに 出だし立てさせたまひて やがて眺めおはします

尊敬語 謙譲語 丁寧語