宮の御腹は 蔵人少 172 ★☆☆

2020-09-15★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺,たり(完了),なり(断),まほし,

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第10章32

宮の御腹は 蔵人少将にて いと若うをかしきを 右大臣の御仲はいと好からねど え見過ぐしたまはで かしづきたまふ四の君にあはせたまへり 劣らずもてかしづきたるは あらまほしき御あはひどもになむ

みや/の/おほむ-はら/は くらうど-の-せうしやう/にて いと/わかう/をかしき/を みぎ-の-おとど/の/おほむ-なか/は/いと/よから/ね/ど え/み-すぐし/たまは/で かしづき/たまふ/し-の-きみ/に/あはせ/たまへ/り おとら/ず/もて-かしづき/たる/は あらまほしき/おほむ-あはひ-ども/に/なむ

母宮との間には蔵人の少将の位にとてもお若く見目よいお方がいらして、右大臣は家同士の御仲こそ良くはなかったが婿がねとしてお見過しにならず大切にお育てになった四の君を娶(めあ)わせておられ、源氏を慈しまれておられる左大臣にも劣らず婿がねの少将を慈しみなられるお姿は、ともに理想的な舅と婿の関係でした。

解釈の決め手

御あはひども:左大臣家と婿・右大臣家と婿

「あはひ」は間柄。それに「ども」がつき複数ある。左大臣が光源氏を大切にすることに劣らず、右大臣が左大臣の息子である蔵人少将を大切にする、その関係性がどちらも「あらまほしき」である。

桐壺 注釈 第10章32

あはせ 01-172

結婚させる。

劣らずもてかしづきたる 01-172

右大臣の主体にもかかわらず、尊敬語が使用されていない。後の「御あはひ」に吸収され、御が敬語としての役割をしていると考えられる。

語りの対象&構造型

対象:大宮(左大臣の正妻、葵の上の母)蔵人少将右大臣左大臣と娘婿の光源氏&右大臣と娘婿の蔵人少将

宮の 御腹は 蔵人少将にて いと若うをかしき 》A
母宮との間には蔵人の少将の位にとてもお若く見目よいお方がいらして、


右大臣の御仲はいと好からねど え見過ぐしたまはで・かしづきたまふ四の君にあはせたまへり》B・C
右大臣は家同士の御仲こそ良くはなかったが婿がねとしてお見過しにならず大切にお育てになった四の君を娶(めあ)わせておられ、


劣らずもてかしづきたるは・ あらまほしき御あはひどもになむ》D・E
源氏を慈しまれておられる左大臣にも劣らず婿がねの少将を慈しみなられるお姿は、ともに理想的な舅と婿の関係でした。

中断型:A<B<CφD<E:A<B<C、D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:にあはせたまへり/三次φは…御あはひどもになむ/三次

の〈御腹〉は 蔵人少将にて いと若うをかしき  〈右大臣〉の〈御仲〉はいと好からねど え見過ぐしたまはで かしづきたまふ四の君にあはせたまへり 劣らず もてかしづきたる 〈[の]〉は あらまほしき御あはひどもになむ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

「右大臣の御仲はいと好からねどえ見過ぐしたまはで」:「いと好からねど」に対する主語は「右大臣の御仲」、「え見過ぐしたまはで」に対する主語は「右大臣」。「AのB」がAとBに分かれて後続の述語に対する主語になる構文を懸垂構文といって欧文では非文法とされるが、和文は頻出する。

係り受け&主語述語

「蔵人少将にていと若うをかしきを」→「え見過ぐしたまはで」→「あはせたまへり」


「右大臣の…劣らずもてかしづきたる」:主述の関係(AのB連体形)


「御仲はいと好からねど」:挿入句


「劣らずもてかしづきたるは、あらまほしき御あはひどもになむ」:挿入句(語り手の付け足しと感想)

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

助動詞:なり(断)   たり まほし

御腹 蔵人少将  いと若うをかしき 右大臣御仲いと好から  え見過ぐしたまは かしづきたまふ四あはせたまへ 劣らもてかしづきたる  あらまほしき御あはひども なむ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語: たまふ

宮の腹は 蔵人少将にて いと若うをかしきを 右大臣の仲はいと好からねど え見過ぐしたまはで かしづきたまふ四の君にあはせたまへり 劣らずもてかしづきたるは あらまほしきあはひどもになむ

尊敬語 謙譲語 丁寧語