事にふれて数知らず 019

2020-09-0301 桐壺01章~10章☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺01章~10章,,たり(完了)

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第2章13

事にふれて数知らず苦しきことのみまされば いといたう思ひわびたるを いとどあはれと御覧じて 後涼殿にもとよりさぶらひたまふ更衣の曹司を 他に移させたまひて上局に賜はす

こと/に/ふれ/て/かず/しら/ず/くるしき/こと/のみ/まされ/ば いと/いたう/おもひ-わび/たる/を いとど/あはれ/と/ごらんじ/て こうらうでん/に/もとより/さぶらひ/たまふ/かうい/の/ざうし/を ほか/に/うつさ/せ/たまひ/て うへつぼね/に/たまは/す

ことに触れ数しらず苦しいことばかりがいや増すので、それはもうひどく思い悩んでいらっしゃるのを、帝はますます愛情深くお思いになって、後涼殿に元からお仕えである更衣を、よそにお移しになり、空いた部屋を桐壺の上局として下賜なさいました。

解釈の決め手

「もの」が運命・決まり・霊的存在など人の力の及ばない存在であるのに対して、「事」は人と人との間に発生する事態。従って、解決不能というわけではないが、あまりにも敵が多く実際には解決する術を失っていた。帝の寵愛を受けて悦びはあるものの、それより遙かに苦しみが勝った。

上局

普段住んでいる局(下局、里の局とも)に対して、帝がおられる清涼殿に上がる際の清涼殿に隣接する控えの間。これが与えられるのも特別待遇である。なお、もとの桐壺は局として継続使用されるゆえ、更衣の呼び名は桐壺のままである。桐壺更衣の死後、成長した光の君は、内裏に泊まる際には、この局を自分の部屋として使用する。

桐壺 注釈 第2章13

わびたる 01-019

自分の非力さを今更ながらに思い知ること。

あはれ 01-019

愛情・哀れみなどから躍起される強い心の揺れ。

後涼殿 01-019

清涼殿の西隣の御殿。

曹司 01-019

局と同じく部屋。

語りの対象&構造型

対象:桐壺更衣後涼殿の更衣

事にふれて数知らず苦しきことのみまされば・いといたう思ひわびたる をいとどあはれと御覧じて》 A・B
ことに触れ数しらず苦しいことばかりがいや増すので、それはもうひどく思い悩んでいらっしゃるのを、帝はますます愛情深くお思いになって、


後涼殿にもとよりさぶらひたまふ更衣の曹司 を 他に移させたまひて・上局に賜はす》 C・D
後涼殿に元からお仕えである更衣を、よそにお移しになり、空いた部屋を桐壺の上局として下賜なさいました。

直列型:A<B<C<D:A<B<C<D

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:を…と御覧じて…を…に移させたまひて…に賜はす/三次

〈[桐壺更衣]〉にふれて数知らず〈苦しきこと〉のみまされ  いといたう思ひわびたる  〈[帝]〉いとどあはれと御覧じて 後涼殿にもとよりさぶらひたまふ更衣の曹司 他に移させたまひて上局に賜はす

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「思ひわびたるを」→「御覧じて」


「御覧じて」→「移させたまひて」→「上局に賜はす」


「更衣の曹司を他に移させたまひて上局に賜はす」(AのBを+動詞X+動詞Y:動詞Xの客体はA、動詞Yの客体はB):更衣を他に移させたまひて、曹司を上局に賜はす(懸垂構文といって英語では非文法とされる)

附録

助詞の識別

ふれ数知ら苦しきことのみまされ いといたう思ひわびたる  いとどあはれ御覧じ 後涼殿もとよりさぶらひ たまふ更衣曹司 他移さたまひ上局賜は

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

事にふれて数知らず苦しきことのみまされば いといたう思ひわびたる を いとどあはれと御覧じて 後涼殿にもとよりさぶらひ たまふ更衣の曹司を 他に移させたまひて上局に賜は

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