初めより おしなべ 010
目次
原文 読み 意味 桐壺02章04@源氏物語
初めよりおしなべての上宮仕へしたまふべき際にはあらざりき
はじめ/より/おしなべて/の/うへみやづかへ/し/たまふ/べき/きは/に/は/あら/ざり/き
もとより帝の側仕えのような雑事をしなければならない身分ではございませんでした。
文構造&係り受け
主語述語と大構造 より…際にはあらざりき:二次
〈[桐壺更衣]〉初めより おしなべての上宮仕へしたまふべき 際にはあらざりき
機能語と係り受け
初めよりおしなべての上宮仕へしたまふべき際にはあらざりき
- 初めより→おしなべての上宮仕へしたまふべき際にはあらざりき/「初めより」は「そもそも、起源からすると」の意味で、「…ではない」といいう否定と呼応する。「初めから…する」と考えてしまうと間違える。連用形と否定形が続く場合、いずれの語句と関係が深いかよく注意する必要がある。
初めより おしなべての上宮仕へしたまふべき際にはあらざりき
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助詞・助動詞の識別:べき に ざり き
- べき:当然・べし・連体形
- に:断定・なり・連用形
- ざり:打消・ず・連用形
- き:過去・き・終止形
敬語の区別:たまふ
初めより おしなべての上宮仕へしたまふべき 際にはあらざりき
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪;失われた意味を求めて
上宮仕へ 01-010
天皇の側仕えで、帝の身の回りの世話をする。後宮に自分の局を持つ更衣とは比較にならない下位の女官。しばしば帝の性の対象となる女性であり、帝の個人情報も一番握っている。地位的に帝の恋愛対象にはならないが、帝に寄り添うもっとも身近な女性である。
おしなべての 01-010
一般の。
際 01-010
身分。
き 01-010
客観的事実としてそうだ。「けり」は気分と関わる助動詞(mode)だが、「き」は客観的。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:桐壺更衣
分岐型:A→(B→)C:A→C、B→C
《初めより・おしなべての上宮仕へしたまふべき・際にはあらざりき》A・B・C
もとより帝の側仕えのような雑事をしなければならない身分ではございませんでした。