はかなく日ごろ過ぎ 046
原文 読み 意味 桐壺第04章11@源氏物語
はかなく日ごろ過ぎて 後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ
はかなく/ひごろ/すぎ/て のち-の-わざ/など/に/も/こまか/に/とぶらは/せ/たまふ
はかなく日が経ち、七日七日の法事などにもねんごろに弔問の使者をお立てになった。
文構造&係り受け 01-046
主述関係に見る文構造(にも…とぶらはせたまふ:二次)
はかなく〈日ごろ〉過ぎて 〈[帝]〉後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ
色分:〈主語〉助詞・述語 [ ]:補充 //挿入 |:休止 @@・@@・@@・@@:分岐
機能語に見る係り受け
はかなく日ごろ過ぎて 後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ
- はかなく日ごろ過ぎて→後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ/接続助詞「て」は完了の助動詞「つ」より発生したもので、ある動作が完了したことが従属節で記され、その結果が主節に述べられるという形式だが、主節と従属節のつながりは弱く、英語の付帯状況に近い。そのため、背景描写に多用される。
助詞・助動詞の識別:せ
- せ:使役・す・連用形/「せたまふ」:使役+尊敬
はかなく日ごろ過ぎて 後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の区別:たまふ
はかなく日ごろ過ぎて 後のわざなど に もこまかにとぶらはせたまふ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪;失われた意味を求めて
はかなく 01-046
「はかなし」の「はか」は「はかどる」。順調にものごとが進み、成果が得られている状態。時間経過と成果が比例していることを表すが、「はかなし」は時間が経過しても手に入るものが少ない、あるいは皆無な状態。帝の気持ちになって語り手がとらえた表現。頼りを失った喪失感。帝の心象風景。
後のわざなどにも 01-046
七日七日の法要。「などにも」とあるので、仏事に限らず、あれやこれやと更衣の母の元に使いを出したことが知られる。
とぶらはせたまふ 01-046
帝が使者をお遣わしになるの意味。「せ」は使役。
耳でとらえる;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:帝/桐壺更衣
《はかなく日ごろ過ぎて》A
はかなく日が経ち、
《後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ》B
七日七日の法事などにもねんごろに弔問の使者をお立てになった。
直列型:A<B:A<B
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置
〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用