これにつけても 憎 042
原文 読み 意味 桐壺第04章07@源氏物語
これにつけても 憎みたまふ人びと多かり
これ/に/つけ/て/も にくみ/たまふ/ひとびと/おほかり
ですが、この追贈一つとってもお憎くみになる女御たちは多かったのです。
文構造&係り受け 01-042
主述関係に見る文構造(につけても…多かり:二次)
これにつけても 憎みたまふ〈人びと〉多かり
色分:〈主語〉助詞・述語 [ ]:補充 //挿入 |:休止 @@・@@・@@・@@:分岐
機能語に見る係り受け
これにつけても 憎みたまふ人びと多かり
「これにつけても」→「多かり」
助詞・助動詞の識別:φ
これにつけても 憎みたまふ人びと多かり
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の区別:たまふ
これにつけても 憎みたまふ人びと多かり
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪;失われた意味を求めて
憎みたまふ 01-042
「たまふ」が付いていることからも、「憎む」主体がそれ相応の人物たちであることを話者は意識している。母桐壺が四位ないし五位である更衣クラスでは、息子が東宮候補になることは難しい。東宮候補になるためには三位以上の女御クラスであるのが一般的だからである。従って、亡くなった後ではあっても、母が従三位(じゅさんみ)になったことで、光源氏は東宮候補の圏内に入ることができた、ないしは一歩近づいたことになる。競争相手たちがこれを憎むのは至極当然であった。
これ 01-042
桐壺更衣が女御クラスの仲間入りとなる従三位(じゅさんみ)の位を追贈されたこと。
耳でとらえる;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:弘徽殿の女御ほか
《これにつけても 憎みたまふ人びと多かり》A
ですが、この追贈一つとっても、お憎くみになる女御たちは多かったのです。
直列型:A:A
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉 ※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置
〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用