人柄のあはれに 情 044
人柄のあはれに情けありし御心を主上の女房なども恋ひしのびあへり 原文 読み 意味 桐壺第4章09/源氏物語
人柄のあはれに 情けありし御心を 主上の女房なども恋ひしのびあへり
ひとがら/の/あはれ/に/なさけ/あり/し/み-こころ/を うへ-の-にようばう/など/も/こひ/しのびあへ/り
人柄がよく情愛こまやかなあの方の御心を、帝つきの女房たちも恋いしのび合うのだった。
大構造(を…も恋ひしのびあへり/二次)& 係り受け
[桐壺更衣の]〈人柄〉のあはれに 〈情け〉ありし御心を 〈主上の女房など〉も恋ひしのびあへり
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「人柄のあはれに」「情けありし御心」(御心の情けありし語順転倒)(並列)→「を」
物語の深部を支える重要語句へのアプローチ
主上の女房
帝付きの女官。桐壺更衣はしばしば「おしなべての上宮仕へ」をさせられていたことが述べられている。主上の女房とはいつも顔をつき合わせていたので、本来、気心が一番わかっていた。しかし、近い存在なだけに嫉妬で目がくらむことにもなったであろう。「も」は「もの思ひ知りたまふ/01-043」に加え。
桐壺 注釈 第4章09
あはれに 01-044
「に」は「なり」の(形容動詞の)連用形。「あはれであり」という連用形が後の語句と並列関係であることのマークになっている。
助詞の識別/助動詞の識別:
人柄のあはれに 情けありし御心を 主上の女房なども恋ひしのびあへり
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の識別:
人柄のあはれに 情けありし御心を 主上の女房など も恋ひしのびあへり
尊敬語 謙譲語 丁寧語
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:桐壺更衣/主上の女房など
《人柄のあはれに・情けありし御心を》A・B
人柄がよく情愛こまやかなあの方の御心を、
《主上の女房なども恋ひしのびあへり》 C
帝つきの女房たちも恋いしのび合うのだった。
分岐型:A+B<C:A+B<C
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用