御返り御覧ずれば  085

2020-09-0701 桐壺01章~10章☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺01章~10章,分岐型

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第7章05

御返り御覧ずれば いともかしこきは置き所もはべらず かかる仰せ言につけても かきくらす乱り心地になむ

おほむ-かへり/ごらんずれ/ば いと/も/かしこき/は/おきどころ/も/はべら/ず かかる/おほせごと/に/つけ/て/も かき-くらす/みだりごこち/に/なむ

母君からの返書をご覧になる、なんとも恐れ多い仰せ事は捨て置くこともできません。あのようなお言葉を戴くにつけても一面の闇に心は乱れるばかりで、

解釈の決め手

かきくらす:言葉の使い分け

暗闇につつまれる。暗くなるの意味で、帝の親書を受け取った時には、「目も見えはべらぬにかくかしこき仰せ言を光にてなむ(子を思う悲しみで)目も見えませんが、このように恐れ多い仰せごとを光にして)/01-60」と言っていたのと対照的である。母君は意図的に相手によって言葉を使い分けている。

桐壺 注釈 第7章05

御返り 01-085

桐壺更衣の母君からの返書。

かしこき 01-085

恐れ多い。「かしこき」の後に「御文」などの省略。勅使の命婦から渡された帝からの親書を指す。

語りの対象&構造型:次と共通

対象:母君対抗勢力桐壺更衣(歌意表)光源氏・(歌意裏)父帝

御返り 御覧ずれば》 A
母君からの返書をご覧になる、


いともかしこき は置き所もはべらず》 B
なんとも恐れ多い仰せ事は捨て置くこともできません。


かかる仰せ言 につけても かきくらす乱り心地になむ》C
あのようなお言葉を戴くにつけても一面の闇に心は乱れるばかりで、


荒き風  ふせぎし蔭の枯れしより  小萩がうへぞ静心なき》 D
表の歌意:強風をふせいでくれた木が枯れたのでそれ以来、小萩の身の上が心配でなりません。どうか若宮のことをお願いします。
裏の歌意:宮中を揺るがす嵐で娘が亡くなってからというもの帝は平静さを失ってしまわれた、どうか若宮のことをもっと気にかけて下さい。


などやうに乱りがはしきを》 E
などと不謹慎な詠みぶりに、


心をさめざりけるほど と御覧じ許すべし》F
気持ちが収まらない折りだからと帝は大目に見ておいでのようでした。

分岐型・中断型:A<(B<|C<D<)E<F:A<E<F、B、C<D<E

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け:次を参照

附録

助詞の識別

御返り御覧ずれ いともかしこき置き所はべら かかる仰せ言つけ  かきくらす乱り心地 なむ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

返り御覧ずれば いともかしこきは置き所もはべらず かかる仰せ言につけて も かきくらす乱り心地に なむ

尊敬語 謙譲語 丁寧語