五六日さぶらひたま 176 ★☆☆

2020-09-15★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第10章36

五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

いつ-か/むゆ-か/さぶらひ/たまひ/て おほいどの/に/ふつ-か/み-か/など/たエだエ/に/まかで/たまへ/ど ただ いま/は/をさなき/おほむ-ほど/に/つみ/なく/おぼし-なし/て いとなみ/かしづき/きこエ/たまふ

エ:や行の「え」

五六日宮中にお仕えされて、大臣邸には二三日いるなど絶え絶えのおいでではあるけれど、ただ今は年端もゆかぬからと悪る気なくお取りになって、甲斐甲斐しくお世話申し上げになる。

解釈の決め手

今は幼き御ほどに:婚儀を終えてなお幼きとする意図は

「幼きほどの心一つにかかりて/01-173」では語り手は「御」をつけていない。ここは左大臣の心中語で御になっていると考えるのがよい。元服を済ませた後、帝は大人になったので御簾の内にも入れないのに、婿取りをし盛大に婚儀を挙げながら、「幼き御ほど」は矛盾した表現である。ここには、婿が娘を抱かないことに対する親としてのこじつけが「幼き」と言わせるのだろう。

ただ…罪なく思しなして:その罪とは

「思しなす」とはそうでないものを無理にそう思おうとすること。それを語り手が強調するために「ただ」が加わっている。罪があるのに罪がないと思おうとしたということ。それは、婚儀を催しながら、娘を抱かないことに対しての罪であろう。

桐壺 注釈 第10章36

五六日さぶらひたまひて 01-176

五六日続けて、内裏に住む。母の局であった桐壺に住む。

大殿 01-176

左大臣宅、正室である葵の上がいる。

いとなみ 01-176

精を出して。

語りの対象&構造型

対象:光源氏左大臣

《五六日さぶらひたまひて・ 大殿に 二三日など絶え絶えにまかでたまへど》A・B
五六日宮中にお仕えされて大臣邸には二三日いるなど、絶え絶えのおいでではあるけれど、


ただ今は 幼き御ほど に罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ》C
ただ今は年端もゆかぬからと悪る気なくお取りになって、甲斐甲斐しくお世話申し上げになる。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:どただ…は…に罪なく思しなしていとなみかしづききこえたまふ/二次

〈[光源氏]〉五六日さぶらひたまひて 大殿二三日など絶え絶えにまかでたまへ  〈[左大臣]〉ただ 今幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「ただ」→「思しなして」/「ただ今は」ではない。

附録:助詞・敬語の識別・助動詞

助動詞:

五六日さぶらひたまひ 大殿二三日など絶え絶えにまかでたまへ ただ 今幼き御ほど罪なく思しなし いとなみかしづききこえたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語:さぶらふ たまふ まかづ  思す きこゆ

五六日さぶらひ たまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかで たまへど ただ 今は幼きほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえ たまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語