御後見だちて仕うま 120
御後見だちて仕うまつる右大弁の子のやうに思はせて率てたてまつるに 原文 読み 意味 桐壺第8章15/源氏物語
御後見だちて仕うまつる 右大弁の子のやうに思はせて 率てたてまつるに 相人驚きて あまたたび傾きあやしぶ
おほむ-うしろみだち/て/つかう/まつる うだいべん/の/こ/の/やう/に/おもは/せ/て ゐ/て/たてまつる/に さうにん/おどろき/て あまた/たび/かたぶき/あやしぶ
後見役として宮にお仕えしていた右大弁の、実子になりすまして連れてゆきお見せしたところ、相人は目をみはって幾度も首をかしげて怪しむのです。
大構造(に…驚きて…傾きあやしぶ/三次)& 係り受け
〈[右大弁]〉御後見だちて仕うまつる 右大弁の子のやうに思はせて 率てたてまつるに 〈相人〉驚きて あまたたび傾きあやしぶ
〈主〉述:一朱二緑三青四橙五紫六水 [ ]: 補 /: 挿入 @・@・@・@:分岐
「思はせて」の主語は意味上帝の方がふさわしく思えるが、尊敬語がないので右大弁とする。その方が「思はせて率てたてまつる」の構造がすっきりする。
「思はせて」「率て」(並列)→「たてまつる」
桐壺 注釈 第8章15
御後見だちて仕うまつる右大弁 01-120
物語には書かれて来なかったが、現在、右大弁が祖母を亡くした光の君の実質的な後見役をしている。光の君が元服するにあたっても、帝へのお礼の品を右大弁が用意している。「弁もいと才かしこき博士にて/01-122」とあるので、光の君の漢学の師でもあるのだろう。
子のやうに思はせて 01-120
息子であるように偽装して。
たてまつる 01-120
(本動詞)相人にお見せする。客体敬語で相人に対する敬意を表す。
助詞の識別/助動詞の識別:
御後見だちて仕うまつる 右大弁の子のやうに思はせて 率てたてまつるに 相人驚きて あまたたび傾きあやしぶ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
敬語の識別:
御後見だちて仕うまつる 右大弁の子のやうに思はせ て 率てたてまつるに 相人驚きて あまたたび傾きあやしぶ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
附録:耳からの情報処理(語りの対象 & 構造型)
語りの対象:右大弁/光源氏のこと/相人
《御後見だちて仕うまつる 右大弁の子のやうに思はせて・率てたてまつるに》A・B
後見役として宮にお仕えしていた右大弁の、実子になりすまして連れてゆきお見せしたところ、
《相人驚きて あまたたび傾きあやしぶ》C
相人は目をみはって幾度も首をかしげて怪しむのです。
直列型:A<B<C:A<B<C
A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
〈直列型〉<:直進 #:倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 |:中止法
〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用