ほど経るままに せ 047 ★☆☆

2020-09-07★☆☆:語義の洗い直しから01 桐壺,06 時間/時刻・昼夜・季節・時代,なり(断),る・らる

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第4章12

ほど経るままに せむ方なう悲しう思さるるに 御方がたの御宿直なども絶えてしたまはず ただ涙にひちて明かし暮らさせたまへば 見たてまつる人さへ露けき秋なり

ほど/ふる/まま/に せむかたなう/かなしう/おぼさ/るる/に おほむ-かたがた/の/おほむ-とのゐ/など/も/たエて/し/たまは/ず ただ/なみだ/に/ひち/て/あかし-くらさ/せ/たまへ/ば み/たてまつる/ひと/さへ/つゆけき/あき/なり

エ:や行の「え」

時が経つにしたがいやるかたなく悲しくお思いになり、女御たちとの夜伽も絶えてなさらず、朝も夕もただ涙にくれておられるので、ご夫人方ばかりか拝顔する女房たちまでが悲しみに沈む秋でした。

解釈の決め手

ほど経るままに

普通なら時間の経過とともに悲しみは次第に癒やされてゆくものだが、そうはならず。

御宿直なども絶えてしたまはず:夜の務め

性交渉をしないのみならず、見向きもしなくなる。そうなると後宮は存在意義を失ってしまう。帝の日中の務めは政にあり、夜の務めは生殖(子孫を残すことと、平安期の意識として生殖は不老長寿につながる)にある。

桐壺 注釈 第4章12

せむ方なう 01-047

対処のしようがなく。

ひちて 01-047

泣き濡れて。

露けき秋 01-047

涙にくれる秋。

語りの対象&構造型

対象:弘徽殿の女御ほか夫人たち親しき女房・御乳母(/01-049)など

ほど経るままに せむ方なう悲しう思さるるに》A
時が経つにしたがいやるかたなく悲しくお思いになり、


御方がた の御宿直なども絶えてしたまはず ただ涙にひちて明かし暮らさせたまへば》B・C
女御たちとの夜伽も絶えてなさらず、朝も夕もただ涙にくれておられるので、


見たてまつる人さへ 露けき秋なり》D
ご夫人方ばかりか拝顔する女房たちまでが悲しみに沈む秋でした。

中断型・分配型:A<B|*A<C<D:A<B、*A<C<D

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:ば…さへ…秋なり/三次

ほど経るまま 〈[帝]〉せむ方なう悲しう思さるる  御方がたの御宿直なども絶えてしたまはず ただ涙にひちて明かし暮らさせたまへ  見たてまつる〈人〉さへ 露けき秋なり

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「ほど経るままに」→「せむ方なう悲しう思さるる」


「せむ方なう悲しう思さるるに」→「明かし暮らさせたまへば」→「露けき秋なり」


「絶えてしたまはず」:連用終止法(「絶えてしたまはず」(連用法)→「明かし暮らさせたまへば」も可。意味に変わりはない)

附録

助詞の識別

ほど経るまま せむ方なう悲しう思さるる  御方がた御宿直など 絶えしたまは ただ涙ひち明かし暮らさたまへ 見たてまつる人さへ 露けき秋なり

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

ほど経るままに せむ方なう悲しう思さるる に 方がたの宿直など も絶えてしたまはず ただ涙にひちて明かし暮らさせたまへば 見たてまつる人さへ 露けき秋なり

尊敬語 謙譲語 丁寧語