一の宮を見たてまつ 049

2020-09-07☆☆☆:特別な問題点はない01 桐壺

桐壺 原文 かな書き 現代語訳 第4章14

一の宮を見たてまつらせたまふにも 若宮の御恋しさのみ思ほし出でつつ 親しき女房御乳母などを遣はしつつ ありさまを聞こし召す

いち-の-みや/を/み/たてまつら/せ/たまふ/に/も わかみや/の/おほむ-こひしさ/のみ/おもほし-いで/つつ したしき/にようばう/おほむ-めのと/など/を/つかはし/つつ ありさま/を/きこしめす

帝は第一皇子を御覧申し上げるにつけても若宮への恋しさばかりが御心につのり、心許せる女房や乳母などをいくども里に遣わして今のご様子をお尋ねになるのでした。

解釈の決め手

親しき女房

「親しくない女房」が想定されている。弘徽殿など監視があるのだろう。帝が心を許すことができる女房。現代語の親しいでは不遜にあたる。

御乳母

「御」とあるので、帝が抱えている乳母か、光源氏付きの乳母と考えるしかない。光源氏付きの乳母は里帰りに付き添っているであろうから、ここは帝のお抱えの乳母であろう。もちろん、帝の幼少期を育てた乳母ではなく、御子が生まれた場合に対処できるように抱えている乳母である。

ありさま

今ある様子。現在進行で変化して行くので、いつもいつも気になって仕方がない。

桐壺 注釈 第4章14

一の宮 01-049

弘徽殿腹の第一皇子、東宮第一候補。

若宮 01-049

光の君。「(一の皇子は)おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君(若宮)をば、私物に思ほしかしづきたまふこと限りなし(第一皇子は公事としてそれ相応に尊ばれる一方、この宮は秘蔵子として慈しみお育てになるご愛情には限りがございません)/01-009」とある。

若宮の御恋しさのみ思ほし出でつつ 01-049

「若宮を恋しく思ほし出でつつ」と同義であろう。前の「一の宮」に合わせて名詞句にしたものと考えられる。

遣はし 01-049

桐壺の実家に光源氏の様子を伺いに行かせる。

語りの対象&構造型

対象:一の宮(東宮第一候補)光の君

一の宮 を見たてまつらせたまふにも・ 若宮の御恋しさ のみ思ほし出でつつ》A・B
帝は第一皇子を御覧申し上げるにつけても若宮への恋しさばかりが御心につのり、


親しき女房御乳母などを遣はしつつありさまを聞こし召す》C
心許せる女房や乳母などをいくども里に遣わして今のご様子をお尋ねになるのでした。

直列型:A<B<C:A<B<C

 A<B:AはBに係る Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
 ※係り受けは主述関係を含む


〈直列型〉<:直進 :倒置 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
〈中断型〉φ:独立文 [ ]:挿入 :中止法


〈反復型〉~AX:Aの置換X A[,B]:Aの同格B 〈分配型〉A<B|*A<C ※直列型以外は複数登録、直列型は単独使用

情報の階層&係り受け

構文:を見たてまつらせたまふにも…のみ思ほし出でつつ…を遣はしつつ…を聞こし召す/一次

〈[帝]〉一の宮を見たてまつらせたまふにも 若宮の御恋しさのみ思ほし出でつつ 親しき女房御乳母などを遣はしつつ ありさまを聞こし召す

主〉述:一朱 二緑 三青 四橙 五紫 六水 [ ]: 補 /: 挿入 :分岐

係り受け&主語述語

「(…にも)…思ほし出でつつ」「…遣はしつつ」(「AつつBつつ」)→「聞こし召す」

附録

助詞の識別

一の宮見たてまつらたまふ  若宮御恋しさのみ思ほし出でつつ 親しき女房御乳母など 遣はしつつ ありさま聞こし召す

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

敬語の識別

一の宮を見たてまつら せたまふに も 若宮の恋しさのみ思ほし出でつつ 親しき女房乳母など を遣はしつつ ありさまを聞こし召す

尊敬語 謙譲語 丁寧語