いと清らなる御髪を 桐壺10章09

2021-03-28

 読 意味

いと清らなる御髪を削ぐほど 心苦しげなるを 主上は 御息の見ましかば と思し出づるに 堪へがたきを 強く念かへさせたまふ

01149/難易度:★☆☆

いと/きよら/なる/-ぐし/を/そぐ/ほど こころぐるしげ/なる/を うへ/は すむどころ/の//ましか/ば と/おぼし-いづる/に たへ/がたき/を こころ-づよく/ねん-かへさ/せ/たまふ

とてもきれいに揃った御髪を剃ぐあいだ若宮が不憫でならなくおなりなのを、帝は御息が見ていたらと 思い出すにつけ耐え難くなられたのを気強くこらえて持ち直された。

構造&係り受け

主語述語と大構造

  • を…は…を…念かへさせたまふ 三次元構造

〈[大蔵卿〉いと清らなる御髪を削ぐほど 心苦しげなる 〈主上〉は 〈御息〉の見ましかば と思し出づる 堪へがたき 強くかへさせたまふ

助詞と係り受け

いと清らなる御髪を削ぐほど 心苦しげなるを 主上は 御息の見ましかば と思し出づるに 堪へがたきを 強く念かへさせたまふ

「堪へがたきを」は「心苦しげなるを」の言い換え、分岐の終了サインになっている。


「思し出づる」の内容は「見るましかば」ではない。御息が見たら今どう思っただろうかと、かつての御息との約束等を思い出したのである。

いと清らなる御髪削ぐほど 心苦しげなる 主上 御息ましか 思し出づる 堪へがたき 強く念かへさたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:ましか せ

  • ましか:反実仮想・まし・未然形
  • :尊敬・す・連用形
敬語の区別:御 御 思す せたまふ

いと清らなる髪を削ぐほど 心苦しげなるを 主上は の見ましか ば と思し出づるに 堪へがたきを 強く念かへさせたまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

心苦しげなる 01149:帝と若宮の間のドラマ

若宮が帝の目には気の毒に見えた。「心苦し」は相の立ち場を思って居たたまれなくなる見る側の感情。どうして髪を削ぐことが気の毒になるのか。それは桐壺との約束である、東宮にしてやることもできず、皇籍からも外して一世源氏にすることになり、桐壺の申し訳なくなったからである。そうした背景を思い浮かべないと、何をまた帝はめそめそしているのかという不理解が生る。大蔵卿が苦しそうにしているという解釈は論外。

堪へがたきを心強く念じかへさせたまふ 01149:帝のあるべき姿

「かつは人も弱く見たてまつるらむと思しつつまぬにしもあらぬ御気色心苦しさに/01059」とあり、帝は立場上、自らの弱さを人に見られないように気を張っていたことがわかる。

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