これは人の御際まさ 桐壺09章08

2021-04-18

原文 読み 意味

これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはねば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざりしに 御心ざしあやにくなりしぞかし

01134/難易度:★☆☆

これ/は ひと/の/おほむ-きは/まさり/て おもひなし/めでたく ひと/も/え/おとしめ/きこエ/たまは/ね/ば うけばり/て/あか/ぬ/こと/なし かれ/は ひと/の/ゆるし/きこエ/ざり/し/に み-こころざし/あやにく/なり/し/ぞ/かし

こちらは位が格段に高く、宮中の評判がよく女御たちも貶め申さないので、だれ憚ることなく不足をお感じになることがない。あちらは、周りが認めないものだから、帝のご寵愛が更衣には逸脱したものと感じられたでしょう。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • 飽かぬことなし 二次元構造|あやにくなりしぞかし 二次元構造

〈これ〉は 〈人の御際〉まさりて 〈思ひなし〉めでたく 〈人〉もえおとしめきこえたまはね うけばりて飽かぬことなし〈かれ〉は 〈人の〉許しきこえざりし 〈御心ざし〉あやにくなりしぞかし

助詞と係り受け

これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはねば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざりしに 御心ざしあやにくなりしぞかし

「これは…うけばりて飽かぬことなし」「かれは…御心ざしあやにくなりしぞかし」:対の表現で、藤壺の宮と桐壺更衣の対比

これ 人御際まさり 思ひなしめでたく 人えおとしめきこえたまは うけばり飽かことなし かれ 人許しきこえざり 御心ざしあやにくなりかし

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:ね ぬ ざり し し

  • :打消・ず・已然形
  • :打消・ず・連体形
  • ざり:打消・ず・連用形
  • :過去・き・連体形
  • :過去・き・連体形
敬語の区別: きこゆ たまふ きこゆ  

これは 人の際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはね ば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざり し に 心ざしあやにくなりし ぞ かし

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

際 01134

ランク、身分。

思ひなし 01134

「思ひなす」の名詞形。人の判断、先入観。

人もえおとしめきこえたまはね 01134

尊敬語の使用から「人」は女御クラス。

うけばり 01134

「憚る」の反意語。でしゃばる。自信をもって振る舞う。

飽かぬことなし 01134

満足しないことがない。「御心ざしあやにく」との対比。

人の許しきこえざりし 01134

尊敬語の使用がないから「人」は更衣以下。藤壺の宮に対しては上流夫人もおとしめることができず、桐壺更衣に対しては、身分の高くない人も寛容さをもって接することがなかった。

御心ざし 01134

帝の愛情。

あやにく 01134

期待・見込みを大幅に裏切る。「うけばりて飽かぬことなし」が藤壺に関することであるなら、対の表現である「御心ざしあやにくなりしぞかし」は桐壺に関することとして解釈しなければならない。よって、帝の愛情が度を越してしまったではなく、桐壺にとって度を越したものとなった、となる。

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