母御息所も影だにお 桐壺09章11

2021-04-18

原文 読み 意味

母御息所も影だにおぼえたまはぬを いとよう似たまへりと典侍の聞こえけるを 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ

01137/難易度:☆☆☆

はは-みやすむどころ/も/かげ/だに/おぼエ/たまは/ぬ/を いと/よう/に/たまへ/り/と/ないし-の-すけ/の/きこエ/ける/を わかき/み-ここち/に/いと/あはれ/と/おもひ/きこエ/たまひ/て つね/に/まゐら/まほしく なづさひ/み/たててまつら/ばや/と/おぼエ/たまふ

母の御息所のことは面影さえ覚えておられなかったが、とてもよく似ておいでですと、典侍が申し上げたのを、幼き御心にとても恋しいと思い申し上げになって、常に側へ参りたい、心うちとけ拝顔したいと願われたものです。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • とおぼえたまふ 四次元構造

〈[光源氏]〉母御息所だにおぼえたまはぬ いとよう似たまへりと〈典侍の〉聞こえけるを 若き御心地いとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ

助詞と係り受け

母御息所も影だにおぼえたまはぬを いとよう似たまへりと典侍の聞こえけるを 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ

「おぼえたまはぬを」→「いとあはれと思ひきこえたまひて」


「典侍の聞こえけるを」→「いとあはれと思ひきこえたまひて」

母御息所だにおぼえたまは いとよう似たまへ典侍聞こえける 若き御心地いとあはれ思ひきこえたまひ 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやおぼえたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:ぬ り ける まほしく

  • :打消・ず・連体形
  • :存続・り・終止形
  • ける:呼び起こし・けり・連体形
  • まほしく:希望・まほし・連用形
敬語の区別:御 たまふ たまふ 聞こゆ  きこゆ たまふ 参る たてまつる たまふ

息所も影だにおぼえたまはぬ を いとよう似たまへり と典侍の聞こえける を 若き心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばや とおぼえたまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

なづさひ 01137

水に浸ると水が体にまとわるように相手にまとわる。

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