かの贈り物御覧ぜさ 桐壺07章10
目次
原文 読み 意味
かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば と思ほすもいとかひなし
01090/難易度:☆☆☆
かの/おくりもの/ごらんぜ/さす なき/ひと/の/すみか/たづね-いで/たり/けむ しるし/の/かむざし/なら/ましか/ば と/おもほす/も/いと/かひなし
命婦は例の贈り物をご覧に入れた。亡くなった楊貴妃の住みかを尋ね当てたという目印の釵(かんざし)であったなら、と帝は願われたがこれも誠に詮ないことでした。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- 御覧ぜさす 一次元構造|もいとかひなし 五次元構造
〈[命婦]〉かの贈り物御覧ぜさす | @〈[道士]〉亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば@ と〈〈[帝]〉思ほす〉もいとかひなし
助詞と係り受け
かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば と思ほすもいとかひなし
かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば と思ほすもいとかひなし
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:さす たり けむ なら ましか
- さす:使役・さす・終止形
- たり:完了・たり・連用形
- けむ:伝聞婉曲・けむ・連体形
- なら:断定・なり・未然形
- ましか:反実仮想・まし・未然形
敬語の区別:御覧ず 思ほす
かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましか ば と思ほすもいとかひなし
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
かの贈り物 01090
桐壺更衣の形見の品である「御装束一領と御髪上げの調度めく物/01078」。
亡き人の住処尋ね出でたりけむ 01090
長恨歌の詩句による。楊貴妃の魂のありかを訪ねて、道士が仙界まで赴いた。そこで楊貴妃と出会った証拠に金の釵を持ち帰る。
ましかば 01090
今更実現することのない願望(反実仮想)。