かの贈り物御覧ぜさ 桐壺07章10

2021-04-18

原文 読み 意味

かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば と思ほすもいとかひなし

01090/難易度:☆☆☆

かの/おくりもの/ごらんぜ/さす なき/ひと/の/すみか/たづね-いで/たり/けむ しるし/の/かむざし/なら/ましか/ば と/おもほす/も/いと/かひなし

命婦は例の贈り物をご覧に入れた。亡くなった楊貴妃の住みかを尋ね当てたという目印の釵(かんざし)であったなら、と帝は願われたがこれも誠に詮ないことでした。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • 御覧ぜさす 一次元構造|もいとかひなし 五次元構造

〈[命婦]〉かの贈り物御覧ぜさす〈[道士]〉亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば 〈[帝]〉思ほす〉もいとかひなし

助詞と係り受け

かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましかば と思ほすもいとかひなし

贈り物御覧ぜさす 亡き人住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましか 思ほすいとかひなし

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:さす たり けむ なら ましか

  • さす:使役・さす・終止形
  • たり:完了・たり・連用形
  • けむ:伝聞婉曲・けむ・連体形
  • なら:断定・なり・未然形
  • ましか:反実仮想・まし・未然形
敬語の区別:御覧ず 思ほす

かの贈り物御覧ぜさす 亡き人の住処尋ね出でたりけむ しるしの釵ならましか ば と思ほすもいとかひなし

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

かの贈り物 01090

桐壺更衣の形見の品である「御装束一領と御髪上げの調度めく物/01078」。

亡き人の住処尋ね出でたりけむ 01090

長恨歌の詩句による。楊貴妃の魂のありかを訪ねて、道士が仙界まで赴いた。そこで楊貴妃と出会った証拠に金の釵を持ち帰る。

ましかば 01090

今更実現することのない願望(反実仮想)。

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