もとの木立山のたた 桐壺10章41

2021-04-18

原文 読み 意味

もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして めでたく造りののしる

01181/難易度:☆☆☆

もと/の/こだち/やま/の/たたずまひ おもしろき/ところ/なり/ける/を いけ/の/こころ/ひろく/しなし/て めでたく/つくり/ののしる

もとの木立や築山の配置は趣きがあったが、池の幅を広くしなし立派な造営であると大変な評判が立った。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • めでたく造りののしる 四次元構造

〈[修理職内匠寮]〉もとの木立山の〈たたずまひ〉 おもしろき所なりける 池の心広くしなして 〈[世人]〉めでたく造りののしる

助詞と係り受け

もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なりけるを 池の心広くしなして めでたく造りののしる

もと木立山たたずまひ おもしろき所なりける 池心広くしなし めでたく造りののしる

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:なり ける

  • なり:断定・なり・連用形
  • ける:呼び起こし・けり・連体形
敬語の区別:φ

もとの木立山のたたずまひ おもしろき所なり ける を 池の心広くしなして めでたく造りののしる

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

めでたく造りののしる 01181:「めでたし」は結果の叙述用法

大騒ぎして造営すると訳されてきたが、わいわい騒ぎながらつくることに、物語る意味はない。造営の結果が世評を得るのだ。王朝時代の造営には今の比ではない、多くの時間と人手が必要であった。大人数で作る動作を騒がしくと考えるのが一般的だが、ここはやはり作り手の問題ではなく、徐々にできあがってゆく中、往来の人が足を止め、すごいなあ、立派なものだなあ、誰の邸宅だろう、などと評判が立つ、そうした中、造営が進んで行くことが、「造りののしる」だと思う。そうでないと「めでたく」の意味がとれない。

おもしろき 01181

趣味性がある、趣深い、興味をひく。

池の心 01181

池の面。

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