五六日さぶらひたま 桐壺10章36

2021-04-18

原文 読み 意味

五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

01176/難易度:★☆☆

いつ-か/むゆ-か/さぶらひ/たまひ/て おほいどの/に/ふつ-か/み-か/など/たエだエ/に/まかで/たまへ/ど ただ いま/は/をさなき/おほむ-ほど/に/つみ/なく/おぼし-なし/て いとなみ/かしづき/きこエ/たまふ

五六日宮中にお仕えされて、大臣邸には二三日いるなど絶え絶えのおいでではあるけれど、ただ今は年端もゆかぬからと悪る気なくお取りになって、甲斐甲斐しくお世話申し上げになる。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • ていとなみかしづききこえたまふ 二次元構造

〈[光源氏]〉五六日さぶらひたまひて 大殿二三日など絶え絶えにまかでたまへ 〈[左大臣]〉ただ 今幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

助詞と係り受け

五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼き御ほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

「ただ」→「思しなして」/「ただ今は」ではない

五六日さぶらひたまひ 大殿二三日など絶え絶えにまかでたまへ ただ 今幼き御ほど罪なく思しなし いとなみかしづききこえたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:φ

敬語の区別:さぶらふ たまふ まかづ たまふ  思す きこゆ たまふ

五六日さぶらひたまひて 大殿に二三日など絶え絶えにまかでたまへど ただ 今は幼きほどに罪なく思しなして いとなみかしづききこえたまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

今は幼き御ほどに 01176:婚儀を終えてなお幼きとする意図は

「幼きほどの心一つにかかりて/01173」では語り手は「御」をつけていない。ここは左大臣の心中語で御になっていると考えるのがよい。元服を済ませた後、帝は大人になったので御簾の内にも入れないのに、婿取りをし盛大に婚儀を挙げながら、「幼き御ほど」は矛盾した表現である。ここには、婿が娘を抱かないことに対する親としてのこじつけが「幼き」と言わせるのだろう。

ただ…罪なく思しなして 01176:その罪とは

「思しなす」とはそうでないものを無理にそう思おうとすること。それを語り手が強調するために「ただ」が加わっている。罪があるのに罪がないと思おうとしたということ。それは、婚儀を催しながら、娘を抱かないことに対しての罪であろう。

五六日さぶらひたまひて 01176

五六日続けて、内裏に住む。母の局であった桐壺に住む。

大殿 01176

左大臣宅、正室である葵の上がいる。

いとなみ 01176

精を出して。

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