御方々も隠れたまは 桐壺08章12
原文 読み 意味
御方々も隠れたまはず 今よりなまめかしう恥づかしげにおはすれば いとをかしううちとけぬ遊び種に 誰れも誰れも思ひきこえたまへり
01117/難易度:☆☆☆
おほむ-かたがた/も/かくれ/たまは/ず いま/より/なまめかしう/はづかしげ/に/おはすれ/ば いと/をかしう/うちとけ/ぬ/あそびぐさ/に たれ/も/たれ/も/おもひ/きこエ/たまへ/り
他の夫人方もお隠れにならず、今から気が引けるほどの気品を備えておいででしたから、とても愛らしくも心安まらぬ遊び相手だと誰もがみな思い申し上げておられました。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ば…に…も…も思ひきこえたまへり 二次元構造
〈御方々〉も隠れたまはず @〈[御子]〉今よりなまめかしう恥づかしげにおはすれば いとをかしううちとけぬ遊び種に@ 〈誰れ〉も〈誰れ〉も思ひきこえたまへり
助詞と係り受け
御方々も隠れたまはず 今よりなまめかしう恥づかしげにおはすれば いとをかしううちとけぬ遊び種に 誰れも誰れも思ひきこえたまへり
色は連用中止法(または終始)で色付けした。
「御方々も隠れたまはず」:連用中止法、または連用法で「思ひきこえたまへり」にかかる
「誰れも誰れも」:「御方々も」の言い換え
御方々も隠れたまはず 今よりなまめかしう恥づかしげにおはすれば いとをかしううちとけぬ遊び種に 誰れも誰れも思ひきこえたまへり
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:ず ぬ り
- ず:打消・ず・連用形
- ぬ:打消・ず・連体形
- り:存続・り・終止形
敬語の区別:御 たまふ おはす きこゆ たまふ
御方々も隠れたまはず 今よりなまめかしう恥づかしげにおはすれば いとをかしううちとけぬ遊び種に 誰れも誰れも思ひきこえたまへり
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
なまめかしう 01117
未成熟の美。
恥づかしげに 01117
見る側が引け目を感じるほど相手が立派。
をかしう 01117
愛すべき(ヲコなものに対する愛情)。下に打ち消し「ぬ」があるが、掛けない。
うちとけぬ 01117
気を許さない。「いとをかしううちとけぬ」はアンビバレントな(相反する感情が同居する)感情である。