いみじき武士仇敵な 桐壺08章10
目次
原文 読み 意味
いみじき武士仇敵なりとも 見てはうち笑まれぬべきさまのしたまへれば えさし放ちたまはず
01115/難易度:☆☆☆
いみじき/もののふ/あた/かたき/なり/とも み/て/は/うち-ゑま/れ/ぬ/べき/さま/の/し/たまへ/れ/ば え/さし-はなち/たまは/ず
猛き武士や仇敵であっても、見ればつい微笑まれるご様子でいらっしゃるので、弘徽殿方もうっちゃっておくわけにはいかない。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ばえさし放ちたまはず 四次元構造
〈[御子]〉いみじき武士仇敵なりとも 見てはうち笑まれぬべきさまのしたまへれば 〈[弘徽殿の女御]〉えさし放ちたまはず
助詞と係り受け
いみじき武士仇敵なりとも 見てはうち笑まれぬべきさまのしたまへれば えさし放ちたまはず
「うち笑まれぬべきさまのしたまへれば」:格助詞「の」の連用修飾語的用法(のように)
いみじき武士仇敵なりとも 見てはうち笑まれぬべきさまのしたまへれば えさし放ちたまはず
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:なり れ ぬ べき れ ず
- なり:断定・なり・終止形
- れ:自発・る・連用形
- ぬ:強意・ぬ・終止形
- べき:当然・べし・連体形
- れ:存続・り・已然形
- ず:打消・ず・終止形
敬語の区別:たまふ たまふ
いみじき武士仇敵なり とも 見て はうち笑まれ ぬ べきさまのしたまへれ ば えさし放ちたまはず
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
なりとも 01115
であってもという仮定。敵対する相手方であっても。弘徽殿の女御たち。源氏身びいきな私でも、ちょっとおおげさ過ぎて臭みを感じる。
さし放ち 01115
うっちゃる。無視する。相手にならない。