いとどこの世のもの 桐壺08章02
目次
原文 読み 意味
いとどこの世のものならず清らにおよすげたまへれば いとゆゆしう思したり
01107/難易度:☆☆☆
いとど/このよ/の/もの/なら/ず/きよら/に/およすげ/たまへ/れ/ば いと/ゆゆしう/おぼし/たり
これまでにもましてこの世のものならず輝きを放つばかりの美しさにご成長あそばされているので、帝はひどく不吉な感じをお抱きになられた。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ば…ゆゆしう思したり 二次元構造
〈[御子]〉いとどこの世のものならず清らにおよすげたまへれば 〈[帝]〉いとゆゆしう思したり
助詞と係り受け
いとどこの世のものならず清らにおよすげたまへれば いとゆゆしう思したり
いとどこの世のものならず清らにおよすげたまへれば いとゆゆしう思したり
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:なら ず れ たり
- なら:断定・なり・未然形
- ず:打消・ず・連用形
- れ:存続・り・已然形
- たり:存続・たり・終止形
敬語の区別:たまふ 思す
いとどこの世のものなら ず清らにおよすげたまへれ ば いとゆゆしう思したり
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
ゆゆしう 01107:帝の不安
美しすぎるものは天の嫉妬を受ける(あるいは天に愛される)ゆえ、夭死するとの考えが当時あり、それゆえゆゆしく思ったとの解釈がなされている。美と夭折のつながりは、例えば竹取物語に現れており、平安貴族の心理を物語るとする。そうした論とは別に、帝は帝の資質として倭相を身につけており、そこから光の君の将来に不吉なものを感じ取っていた。「めづらかなる稚児の御容貌なり/01008」。
いとど 01107
それまでもそうであったが、今はなおのこと、ますます。
清らに 01107
帝や皇太子など特殊な人にのみ使われる形容詞。光りかがやくような美しさ。それは阿弥陀仏の後光のような尊さ清らかさをもつ。
およすげ 01107
成長する。