年ごろうれしく面だ 桐壺06章04
目次
原文 読み 意味
年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひしものを かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命にもはべるかな
01068/難易度:☆☆☆
としごろ/うれしく/おもだたしき/ついで/にて/たちより/たまひ/し/もの/を かかる/おほむ-せうそこ/にて/み/たてまつる かへすがへす/つれなき/いのち/に/も/はべる/かな
年来は喜ばしく晴れがましい機会にお立ち寄りいただきました運命であったものを、このようなご用向で今お目にかかるのは、返す返すもままならぬ命ですこと。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- 命にもはべるかな 四次元構造
〈[母君]〉年ごろうれしく面だたしきついでにて〈[命婦]〉立ち寄りたまひしものを かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命にもはべるかな
助詞と係り受け
年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひしものを かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命にもはべるかな
「立ち寄りたまひしものを」→「見たてまつる」(過去の「し」と現在の「つる」の対比)
年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひしものを かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命にもはべるかな
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:し に
- し:過去・き・連体形
- に:断定・なり・連用形
敬語の区別:たまふ 御 たてまつる はべり
年ごろうれしく面だたしきついでにて立ち寄りたまひし もの を かかる御消息にて見たてまつる 返す返すつれなき命に もはべるかな
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
つれなき命 01068:逆順
「つれなし」は連れがないことから生じる感情が原義。娘だけを奪って、私を置き去りにした運命。娘の末期の歌「命なりけり」と呼応する。
面だたしき 01068
世間に誇れる。帝の寵愛が娘に向かっているなどの報告が命婦からあったのであろう。
かかる御消息 01068
帝からの娘の死の弔意。