先の世にも御契りや 桐壺02章01
目次
原文 読み 意味
先の世にも御契りや深かりけむ 世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ
01007/難易度:☆☆☆
さきのよ/に/も/おほむ-ちぎり/や/ふかかり/けむ よ/に/なく/きよら/なる/たま/の/をのこ-みこ/さへ/むまれ/たまひ/ぬ
先の世でも帝とのご縁が深かったのであろうか、この世にない気品のそなわった玉のような御子までお生まれになった。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- さへ生まれたまひぬ 一次元構造
/先の世にも〈御契り〉や深かりけむ/ 世になく清らなる玉の〈男御子〉さへ生まれたまひぬ
助詞と係り受け
/先の世にも御契りや深かりけむ/ 世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ
- 先の世にも→御契りや深かりけむ/挿入、「や…けむ」は挿入の目印。
先の世にも御契りや深かりけむ 世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:けむ ぬ
- けむ:過去推量・けむ・連体形/「や…けむ」は挿入になる場合が多い。「や」はないこともある。
- ぬ:完了・ぬ・終止形
敬語の区別:御 たまふ
先の世にも御契りや深かりけむ 世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
世になく0-007
この世ならぬ。単なる比喩的表現ではなく、実際に比較を絶する様子。それは帝にとって危惧されるものであった。
玉の男御子さへ 01007
「さへ」はあるものに加えてしかじかまでもの意味。通例あるものは省略されるが、何に加えてなのか考えることが望ましい。この場合、宿縁が深かったゆえに起きることから考え、帝からの身分不相応な寵愛である。それだけでも前世からの縁が深いのに、美しい皇子までという含意。
清らなる 01007
第一等の美をさす。逆にこの語があてられるの人は、第一等の人と考えてよい。光源氏の美質の一つ。