慰むやとさるべき人 桐壺09章02
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:帝/先帝の四の宮(藤壺の宮)/母后(藤壺の母)/典侍/桐壺更衣
分岐型:A→B→(C→D→(E→F)→G→(H→I→))J→K:A→B→J→K、C→D→G→J、E→F→G、H→I→J
《慰むやとさるべき人びと参らせたまへど・なずらひに思さるるだにいとかたき世かなと 疎ましうのみよろづに思しなりぬるに》A・B
慰めになろうかと、夫人にふさわしい方々をお召しになるが、比べてみるお気持ちになる人さえ全く見つからぬ世の中であると、疎ましいとばかり万事をお考えになっておいででしたが、
《先帝の四の宮の・御容貌すぐれたまへる 聞こえ高くおはします 母后世になくかしづききこえたまふを》C・D
先帝に四の宮は、美貌にすぐれ、世評も高く、母の后がこよなく大切にお育てになお方ですがそれを、
《主上にさぶらふ典侍は・先帝の御時のひとにて かの宮にも親しう参り馴れたりければいはけなくおはしましし時より見たてまつり》E・F
帝に仕える典侍は先帝の御代からの女房で、四の宮のもとへも親しく通い馴れていたので、
《今もほの見たてまつりて》G
幼い時分よりお見かけし、昨今も物越しながらしかとお見受けして来てところなので、
《亡せたまひにし御息所の御容貌に似たまへる人を 三代の宮仕へに伝はりぬるに え見たてまつりつけぬを》H
お亡くなりになった御息所のご容貌に似ていらっしゃる方を、三代の宮仕えを過ごしてまいりながらいっこうにお見受けしたこともございませんが、
《后の宮の姫宮こそいとようおぼえて 生ひ出でさせたまへりけれ ありがたき御容貌人になむ・と奏しけるに》I・J
后の宮のお姫さまこそまことに生き写しのお姿にご成長なさいました。類なきお顔立ちのお方でと奏上したところ、
《まことにやと御心とまりて ねむごろに聞こえさせたまひけり》K
本当だろうかと御心に留まり人を立て懇ろに入内をお勧め申し上げた。
- 〈直列型〉→:修飾 #:倒置
- 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
- 〈中断型〉//:挿入 |:文終止・中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
- 〈分配型〉A→B*A→C
A→B:AはBに係る
Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
※直列型は、全型共通のため単独使用に限った