年ごろ馴れ睦びきこ 桐壺08章06
目次
原文 読み 意味
年ごろ馴れ睦びきこえたまひつるを 見たてまつり置く悲しびをなむ 返す返すのたまひける
01111/難易度:☆☆☆
とし-ごろ/なれ-むつび/きこエ/たまひ/つる/を み/たてまつり/おく/かなしび/を/なむ かへすがへす/のたまひ/ける
長年慣れ親しみ申し上げて来られた若宮を、お残し申して行く悲しさを祖母も繰り返し繰り返し口にされたものです。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- をなむ…のたまひける 三次元構造
〈[母北の方]〉年ごろ馴れ睦びきこえたまひつるを 見たてまつり置く悲しびをなむ 返す返すのたまひける
助詞と係り受け
年ごろ馴れ睦びきこえたまひつるを 見たてまつり置く悲しびをなむ 返す返すのたまひける
年ごろ馴れ睦びきこえたまひつるを 見たてまつり置く悲しびをなむ 返す返すのたまひける
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:つる ける
- つる:完了・つ・連体形
- ける:呼び起こし・けり・連体形(「なむ」の結び)
敬語の区別:きこゆ たまふ たてまつる のたまふ
年ごろ馴れ睦びきこえたまひつる を 見たてまつり置く悲しびを なむ 返す返すのたまひける
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
見たてまつり置く 01111
光の君をこの世に残して死出の旅に旅立つこと。従って、この一文の動作主は母君。「つひに亡せたまひぬれば/01109」は祖母が亡くなった事実を、この文では亡くなる時の模様を描く。時間軸に沿っていないので現代の読者には違和感が生じるかもしれない。この文は前の文と後の文(いずれの主体も若宮)の間に挿話的に入っているだけで、括弧の中に入れて考えるとよい。