朝に起きさせたまふ 桐壺07章22

2021-04-18

原文 読み 意味

朝に起きさせたまふとても 明くるも知らでと思し出づるにも なほ朝政は怠らせたまひぬべかめり

01102/難易度:☆☆☆

あした/に/おき/させ/たまふ/とて/も あくる/も/しら/で/と/おぼし-いづる/に/も なほ/あさまつりごと/は/おこたら/せ/たまひ/ぬ/べかめり

翌朝せっかくお起きになっても、夜の明けるのも知らず寝過ごしたものだと往事を回想なされ、それにつけても、政務はやはり怠っておしまいのご様子。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • とても…にも…は怠らせたまひぬべかめり 二次元構造

〈[帝]〉朝に起きさせたまふとても 明くるも知らで思し出づるにも なほ朝政は怠らせたまひぬべかめり

助詞と係り受け

朝に起きさせたまふとても 明くるも知らでと思し出づるにも なほ朝政は怠らせたまひぬべかめり

起きさせたまふとて 明くる知ら思し出づる なほ朝政怠らたまひべかめり

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:させ せ ぬ べか めり

  • させ:尊敬・さす・連用形
  • :尊敬・す・連用形
  • :強意・ぬ・終止形
  • べか:当然・べし・連体形「べかる」の撥音便「べかん」の「ん」の脱落。
  • めり:推定・めり・終止形
敬語の区別:させたまふ 思し出づ せたまふ

朝に起きさせたまふとて も 明くるも知らで と思し出づるに も なほ朝政は怠らせたまひぬ べか めり

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

朝政 01102:朝日と共にある天子像

朝廷の公務。古来の帝王の意識では、朝の未明に百官が大極殿に集い、帝は南面して報告を聞き、決裁をすませることが帝の政務である。朝食を摂るのはその後。公事がわたくしに優先するのである。

明くるも知らで 01102

「玉すだれあくるも知らで寝しものを夢にも見じと思ひかけきや/伊勢集」の第二句を指す。宇多天皇が長恨歌屏風絵の作成にあたり、女流歌人の伊勢に玄宗皇帝の立場になって詠ませた歌の一首。夜が明け玉だすきを巻き上げたのも知らずに二人で寝て過ごしたものを、夢の中でも会えなくなる今日の日をかつて予想したであろうか、との歌意である。

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