我が御心ながらあな 桐壺06章09
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:帝/世間の目/桐壺更衣/命婦
分岐型・中断型:〔A→B→C|〕+〔D→(E→F+G→)H→I|〕→K→(L→)M:A→B→C、D→H→I、E→F+G→H、*C+*I→K→M、L→M
《我が御心ながらあながちに人目おどろくばかり思されしも》A
おのが御心ながらあながちに人目を驚かせるばかりに思われたのも、
《長かるまじきなりけりと・今はつらかりける人の契りになむ》B・C
長く続くはずもないことであったと、今はつらく思われるえにしで、
《世にいささかも人の心を曲げたることはあらじと思ふを》D
つゆいささかも人の気持ちを損ねる気など思ってもみないことなのに、
《ただこの人のゆゑにて》E
ただこの人ゆえに
《あまたさるまじき人の恨みを負ひし》F
あまたの受けずともよい人の恨みを負った果て果てが、
《果て果てはかううち捨てられて》G
こんな風に一人うち捨てられ、
《心をさめむ方なきにいとど人悪ろうかたくなになり果つるも》H
心を静めるすべもないうえに、ますます恥も知らず頑なに成り果ててしまったのも、
《前の世ゆかしうなむ》I
どうした前世の因縁か知れるものなら
《とうち返しつつ・御しほたれがちにのみおはしますと・語りて尽きせず》K・L・M
と、帝を責める母君の言葉を切り替えしながら、悲嘆の涙に暮れてばかりおいでですと命婦は語って尽きることがない。
- 〈直列型〉→:修飾 #:倒置
- 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
- 〈中断型〉//:挿入 |:文終止・中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
- 〈分配型〉A→B*A→C
A→B:AはBに係る
Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
※直列型は、全型共通のため単独使用に限った