これもわりなき心の 桐壺06章07
目次
原文 読み 意味
これもわりなき心の闇になむと 言ひもやらずむせかへりたまふほどに 夜も更けぬ
01071/難易度:☆☆☆
これ/も/わりなき/こころ-の-やみ/に/なむ/と いひ/も/やら/ず/むせかへり/たまふ/ほど/に よ/も/ふけ/ぬ
こんな世迷いごとも心の闇がと、言いも果てずむせ返ってしまわれるうちに、夜も更けゆく。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- に…も更けぬ 三次元構造
@〈これ〉もわりなき心の闇になむと@ 〈[母君]〉言ひもやらずむせかへりたまふほどに 〈夜〉も更けぬ
助詞と係り受け
これもわりなき心の闇になむと 言ひもやらずむせかへりたまふほどに 夜も更けぬ
「言ひもやらずむせかへりたまふ」:「暮れまどふ心の闇も/01067」から「これもわりなき心の闇になむ」までを受ける。
これもわりなき心の闇になむと 言ひもやらずむせかへりたまふほどに 夜も更けぬ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:ず ぬ
- ず:打消・ず・連用形
- ぬ:完了・ぬ・終止形
敬語の区別:たまふ
これもわりなき心の闇になむ と 言ひもやらずむせかへりたまふほどに 夜も更けぬ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
わりなき心の闇 01071:気持ちの整理がつかない
「わりなし」は理屈ではわりきれない気持ちの形容。娘が亡くなったのは、決して帝の寵愛のせいではないことはわかっているが、残された母として気持ちが整理できないでいる。