はかばかしう後見思 桐壺06章06
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:桐壺更衣/母君/故大納言/帝/他の女御・更衣
分岐型:A→B→(C→)D→(E→F→)G→H→I:A→B→D→G→H→I、C→D、E→F→G
《はかばかしう後見思ふ人もなき交じらひは・なかなかなるべきことと思ひたまへながら》A・B
しっかりと後ろ盾する人もない宮中の人まじらいは、かえってあだにもなろうとは存じながら、
《ただかの遺言を違へじとばかりに・出だし立てはべりしを》C・D
ただかの遺言に違うまいその一心で、宮中へ出立させましたところ、
《身に余るまでの御心ざしのよろづにかたじけなきに・人げなき恥を隠しつつ交じらひたまふめりつるを》E・F
身に余るまでのご寵愛が万時にもったいなくて、それがために人並にも扱われぬ恥を忍んで宮仕えを続けておられたようですが、
《人の嫉み深く積もり安からぬこと多くなり添ひはべりつるに》G
人のそねみは重なり積もり、心痛はそれに応じて増すばかりで、
《横様なるやうにてつひにかくなりはべりぬれば》 H
尋常ならざる仕業でついにこんなことになってしまわれたうえは、
《かへりてはつらくなむかしこき御心ざしを思ひたまへられはべる》I
恐れ多いことながらかえってつらくご寵愛が思われてなりません。
- 〈直列型〉→:修飾 #:倒置
- 〈分岐型〉( ):迂回 +:並列
- 〈中断型〉//:挿入 |:文終止・中止法
- 〈反復型〉~AX:Aの言換えX ,AB:Aの同格B
- 〈分配型〉A→B*A→C
A→B:AはBに係る
Bの情報量はAとBの合算〈情報伝達の不可逆性〉
※係り受けは主述関係を含む
※直列型は、全型共通のため単独使用に限った