南面に下ろして母君 桐壺05章06
目次
原文 読み 意味
南面に下ろして 母君もとみにえものものたまはず
01055/難易度:☆☆☆
みなみ-おもて/に/おろし/て ははぎみ/も/とみ/に/え/もの/も/のたまは/ず
勅使は建物の正面で轅(ながえ)を下ろすが、出迎える母君もすぐには言葉が見つかりません。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- て…も…え…ものたまはず 二次元構造
南面に下ろして 〈母君〉もとみにえものものたまはず
助詞と係り受け
南面に下ろして 母君もとみにえものものたまはず
「母君もとみにえものものたまはず」:中止法
南面に下ろして 母君もとみにえものものたまはず
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:ず
- ず:打消・ず・連用形→とて→泣いたまふ/中止法もしくは終止形も可。ただし、文を切るより連用形の方が緊張感が出る。
敬語の区別:のたまふ
南面に下ろして 母君もとみにえものものたまはず
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
母君も 01055:はりつめた空気を伝える助詞「も」
命婦も庭の具合から、母の心中を察して言葉が出ないし、勅使を出迎える母は真っ先に挨拶をすべきところ、これまでの私的な訪問とは違い若君のことで決断を迫れれることになると直感して言葉が出ないのであろう。
南面 01055
正式な客を招く部屋。命婦は帝の使者であるから正式な客である。
下ろして 01055
後に無言の間がある。劇的空白が表現されている。