人柄のあはれに情け 桐壺04章09

2021-04-18

原文 読み 意味

人柄のあはれに 情けありし御心を 主上の女房なども恋ひしのびあへり

01044/難易度:☆☆☆

ひとがら/の/あはれ/に/なさけ/あり/し/み-こころ/を うへ-の-にようばう/など/も/こひ/しのびあへ/り

人柄がよく情愛こまやかなあの方の御心を、帝つきの女房たちも恋いしのび合うのだった。

文構造&係り受け

主語述語と大構造

  • を…も恋ひしのびあへり 二次元構造

[桐壺更衣の]〈人柄〉のあはれに 〈情け〉ありし御心 〈主上の女房なども恋ひしのびあへり

助詞と係り受け

人柄のあはれに 情けありし御心を 主上の女房なども恋ひしのびあへり

  • 人柄のあはれに・情けありし御心/並列+→主上の女房なども恋ひしのびあへり/「あはれなりし人柄」を語順転倒、または「御心の情けありし」を語順転倒。この例でわかることは、前置修飾と後置修飾に隔たりがないということである。

「人柄のあはれに」「情けありし御心」(御心の情けありし語順転倒)(並列)→「を」

人柄あはれに 情けあり御心 主上女房など恋ひしのびあへ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助動詞の識別:し り

  • :過去・き・連体形
  • :存続・り・終止形
敬語の区別:

人柄のあはれに 情けありし心を 主上の女房など も恋ひしのびあへり

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪

主上の女房 01044

帝付きの女官。桐壺更衣はしばしば「おしなべての上宮仕へ」をさせられていたことが述べられている。主上の女房とはいつも顔をつき合わせていたので、本来、気心が一番わかっていた。しかし、近い存在なだけに嫉妬で目がくらむことにもなったであろう。「も」は「もの思ひ知りたまふ/01043」に加え。

あはれに 01044

「に」は「なり」の(形容動詞の)連用形。「あはれであり」という連用形が後の語句と並列関係であることのマークになっている。

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