女君はすこし過ぐし 桐壺10章29
目次
原文 読み 意味
女君はすこし過ぐしたまへるほどに いと若うおはすれば 似げなく恥づかしと思いたり
01169/難易度:☆☆☆
をむなぎみ/は/すこし/すぐし/たまへ/る/ほど/に いと/わかう/おはすれ/ば にげなく/はづかし/と/おぼい/たり
女君は、すこし年嵩でいらっしゃったのに、婿殿がたいそうお若いので不似合いでいたたまれないとお思いでした。
文構造&係り受け
主語述語と大構造
- ば…と思いたり 三次元構造
〈女君〉はすこし過ぐしたまへるほどに 〈[若宮]〉いと若うおはすれば 似げなく恥づかしと思いたり
助詞と係り受け
女君はすこし過ぐしたまへるほどに いと若うおはすれば 似げなく恥づかしと思いたり
女君はすこし過ぐしたまへるほどに いと若うおはすれば 似げなく恥づかしと思いたり
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助動詞の識別:る たり
- る:存続・り・連体形
- たり:存続・たり・終止形
敬語の区別:たまふ おはす 思す
女君はすこし過ぐしたまへるほどに いと若うおはすれば 似げなく恥づかしと思いたり
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪
過ぐし 01169
年齢がかさむ。
似げなく 01169
似つかわしくない。光源氏が藤壺の宮に母のイメージを投影することに関しては「(かよひて見えたまふも)似げなからずなむ(あなたが母に見えるのも、無理からぬことで)/01138」とあり、それぞれの関係性は対照的である。
恥づかし 01169
相手が立派でいたたまれない感じ。いたたまれなさは、次のフレーズ(/01170)で見るように、皇女腹であるというプライドに起因する点に注意したい。