源氏物語 第二帖
光る源氏 名のみこ 001 ★★★

光源氏とはまあ、名ばかりごたいそうだが、とつい言いよどんでしまう不始末が多いとのことなのに、ますますもって、こんな色恋沙汰の数々を後の世にまで語り継がれて、軽はずみの名を流すことになってはと、お隠しになっておられた秘密までも、語り伝え ...
さるは いといたく 002

その実はもう、ひどく世間の目を気にかけ、気まじめそうにしていらっしゃるほどといっては、婀娜めいた艶話はなくて、恋の達人交野の少将には笑われておしまいだったでしょう。
まだ中将などにもの 003

まだ近衛中将あたりでいらっしゃった時は、内裏にばかり居続けるようになさって、大臣邸へは途絶えがちにお出になる。
忍ぶの乱れやと 疑 004★★★

人目を忍んで通う女がどこぞにおいでかと大臣家では疑い申し上げることもあったけれど、そのような実のない世間でいくらも目にする軽はずみな色事などはお好みにならないご気性であって、稀には、強いてご気性に反して心を磨り減らす恋を御心に思いつづ ...
長雨晴れ間なきころ 005

長雨が晴れる間もない時節、内裏の物忌みがうち続いていつにもまして長居なさるのを、大臣方では待ちわびて恨めしくお思いであったが、それでもご装束万端どれもふたつとないような仕立てに誂えておあげになり、ご子息たちの方ではただこの君の御曹司に ...